TeamsのWeb会議は高音質化で“古き良きあれ”に近づく?:「音」にこだわるMicrosoft Teams【後編】
Microsoftは「Microsoft Teams」のアップデートで、音声の品質を改善する機能を追加した。その隠れた意図とは何か。Web会議ツールベンダーが音声および映像品質の改善を目指す、市場ニーズの変化とは。
Microsoftは2022年6月13日(米国時間)に、ユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」をアップデートし、エコーキャンセル機能をはじめWeb会議の音質改善につながる幾つかの機能を追加することを明らかにした。調査会社TECHnalysis Researchのアナリストであるボブ・オドネル氏は、Microsoftが今回のアップデートで目指すこととして
- Web会議の体験を、従来の電話のような体験に近づけること
を挙げる。電話は、2人の話者の声が重なってもノイズが入らず、自然に会話がつながるものだ。
エコーキャンセル機能にはWeb会議の会話がスムーズになる効果もある、とMicrosoftは説明する。ノートPCのマイクは概してスピーカーの近くにあり、そのせいでスピーカーからの音声を拾い、エコーを発生させることがある。2人が同時に話そうとするとエコーが特に目立ち、会話が滞ることになる。
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Microsoftの競合は既に、AI(人工知能)技術を使ってWeb会議の音の問題に対処している。Cisco Systemsは、ノイズ除去技術を手掛けるBabbleLabsを2020年に買収し、Web会議ツール「Cisco Webex」で相手の声を聞こえやすくした。Zoom Video CommunicationsのWeb会議ツール「Zoom」も、バックグラウンドノイズキャンセル機能を備えている。各ベンダーのバックグラウンドノイズ低減の取り組みは「どれも比較的成功している」とオドネル氏は評価する。「音質改善の多くは、取り組みの積み重ねによって徐々に進んでいく」(同氏)
Microsoftは、AI技術を用いたエコーキャンセル機能だけでなく、解像度や表示遅延といった映像品質の改善にも注力している。2022年6月に発表したアップデートで、Microsoft Teamsには、
- 周囲が暗い環境でWebカメラの映像を明るく調整する機能
- データ通信速度が遅い状況で、共有するコンテンツの種類に応じて「映像品質」と「再生のスムーズさ」のどちらを優先するかを判断する機能
が加わる。
テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」の定着に伴い、これからの会議にはリモート参加者が一定数含まれることが当たり前になる。そのため、Web会議ベンダーにとって通話品質はますます重要な機能になる。調査会社Gallupが2021年10月に公開した調査データによれば、調査対象(米国の労働者9000人)のうち91%が、少なくとも時々はテレワークをすることになると予想していた。
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