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「全校ギガビット回線化」「学校無線LANに240億円」 英国“積極投資”の裏事情英国で進む「教育機関向けネットワーク」の強化【前編】

英国の教育相は、2025年までに全ての教育機関でブロードバンドを利用できるようにする計画を発表した。同国が取り組むプロジェクトの全容は。

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 英国は1Gbps以上の通信速度でインターネットに接続できる高速回線(ブロードバンド)を英国全土に拡大する政府戦略を実施している。その新たな施策として2022年3月、同国教育相(当時)のナディム・ザハウィ氏(原稿執筆時点では財務相)は、2025年までに英国の全ての教育機関でブロードバンドを利用可能にする計画を打ち出した。

ギガビット回線から無線LANまで 英国「教育IT積極投資」の意図は

 英国ロンドンで開催の教育IT展示会「Bett 2022」における講演でザハウィ氏は、「デジタル技術とデータ、それを支えるインフラによって、私たちの生き方、働き方、学び方が変化しつつある」と指摘した。その上で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)から得た経験を足掛かりに、「英国は、新しく優れたITの活用法を教育機関および教育システム全体に組み込む必要がある」と話す。

 ブロードバンドへの接続を教育機関に対して確約するという野心的な取り組みの一環として、英国教育省は教育機関向けの技術標準第1版を公開した。各教育機関は英国政府のWebサイト「Gov.uk」を通じて技術標準を確認できる。

 この技術標準は、ブロードバンドと学内ネットワークが満たすべき要件をまとめたものだ。「学習効果のある授業を実現するために、導入すべき技術は何か」を教育機関が把握できるようにすることを目的に策定している。政府が教育機関のITインフラ整備を支援することは、学習者の学びを推進するベストプラクティスの基盤作りにつながるという考えだ。

 教育省は2025年までに、優先度の高い地区の教育機関に働きかけ、より高速で信頼性の高い接続環境を導入する。同省は要件を満たす教育機関に対して、ITインフラの増強を目的とする資金を提供する。

 英国政府は、無線LAN設備の増強が特に必要な教育機関を支援する1億5000万ポンドの基金設立も発表した。この基金の投資先には、教育省が過去に認定した55件の「教育投資地区」の教育機関が含まれる。教育投資地区は、教育機関の取り組みが特に遅れているとされる地区のことで、2020年2月刊行の英国政府白書「Levelling Up the United Kingdom」で指定された。英国政府はバックグラウンドや居住地を問わず、全ての学習者が質の高い学びを得られるようにするために、指定地区の教育機関を対象にした投資や支援、施策を実施する。

 ザハウィ氏は講演の中で「この新しい投資によって、英国の全ての教育機関に最高の技術を行き渡らせるという、われわれの取り組みが大きく前進する」と話した。英国政府は、教育機関のブロードバンド接続を可能にし、導入すべき技術を把握するための明確な標準を策定し、標準を満たすための資金を提供する。「これら全ては、英国全土で教育水準を高めるための最新の方法だ」(同氏)


 後編も引き続き、英国の教育機関に向けたブロードバンド整備の状況を紹介する。

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