コロナ禍で勝負――DXを目指す空港が「Rise with SAP」を導入した狙い:DXを進める空港の取り組み【後編】
「Rise with SAP」はSAPがクラウドで提供するERPパッケージだ。デジタルトランスフォーメーション(DX)実現を目指す空港はRise with SAPを導入した。どのように活用するのか。
Manchester Airports Group(MAG)は、マンチェスター空港(Manchester Airport)をはじめとした複数の空港を運営する英国企業だ。同社はデジタルトランスフォーメーション(DX)実現のため、SAPがERP(統合業務)システムのクラウドサービス移行を支援するサービス群「Rise with SAP」を導入した。狙いはどこにあるのか。
DXを目指す空港が「Rise with SAP」を活用する狙いは?
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Rise with SAPはマネージドクラウドインフラとマネージドサービスを1つの契約に束ねたサービス群だ。SAPは2021年1月に同サービスの提供を開始した。このサービスの中核は、同社のカラム型インメモリデータベース「SAP HANA」を基盤とするERPシステム「SAP S/4HANA」だ。
以下の英国企業もRise with SAPの採用を公表している。
- 紅茶と食品の製造販売企業Twinings Ovaltine
- 輸送企業Unipart Group
- ビール醸造や食料品、医薬品を手掛ける企業Briggs of Burton
- 自動車販売企業Inchcape
- ガソリンスタンドや食料品販売を手掛ける企業EG Group
- Walmart傘下の小売企業Asda Stores
Rise with SAP導入の最初のフェーズとして、MAGは既存のERPシステム「SAP ERP Central Component」(SAP ECC)をクラウドサービスにリフト&シフト(オンプレミスのシステム構成で移行した後、クラウドサービス向けに設計を最適化すること)する。同社はSAPの調達・購買システム「SAP Ariba」と人事システム「SAP SuccessFactors」の活用も進める。
SAPで英国およびアイルランド担当のマネージングディレクターを務めるミシェル・ヴェルホーヴェン氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で観光業界は深刻な打撃を受けていると話す。MAGが目指すのはアジャイル(俊敏であること)な組織となり、業務自動化を進め、インサイト(洞察)に基づいた行動を取ることだ。「世界的にCOVID-19の規制緩和が進む中で、当社は有利なポジションに立つための取り組みを進める」とヴェルホーヴェン氏は語る。
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