“普通のクラウド”を避ける企業ほど「ソブリンクラウド」を使いたい?:クラウドサービスのデータ主権問題【前編】
調査会社のデータによると、「ソブリンクラウド」が企業の注目を集めており、今後数年で採用が広がる可能性があるという。その背景とは。
クラウドサービス利用時のデータ主権(データの制御や管理に関する権利)を重視する企業の間で、「ソブリンクラウド」への関心が高まりつつあることが、調査会社Capgemini Research Instituteのデータで分かった。同社の調査を基にソブリンクラウドとは何か、なぜ企業の間で関心が高まっているのかを考える。
「ソブリンクラウド」とは? なぜ企業の関心を集めるのか
Capgemini Research Instituteはソブリンクラウドの利用動向に関する調査レポート「The journey to cloud sovereignty:Assessing cloud potential to drive transformation and build trust」を公開した。調査はオーストラリアやフランス、ドイツ、インド、英国、米国など10カ国の企業幹部1000人を対象に、2021年5月〜6月に同社が実施したものだ。
レポートではクラウドサービス利用時の懸念事項として、回答者の69%が「域外の法規制が適用される可能性」を挙げた。他にも、回答者の68%が「クラウドサービスに保存するデータに関する透明性と、制御権の欠落」について懸念を表明。67%が「海外を拠点とするクラウドベンダーへの運用依存」を不安視した。
回答者の71%が法規制を確実に順守することを目的に、67%がデータの取り扱いに関する制御と可視化を目的に、ソブリンクラウドの採用を検討すると回答した。ソブリンクラウドは、各国のデータ保護に関する法律や規則にのっとることを保証するクラウドサービスだ。
今後3年間のインフラの利用形態を問う設問では、3分の1以上(38%)の回答者が「クラウドサービスのみ」または「ハイブリッドクラウド」(オンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する形態)になると回答した。
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