「仮想アシスタントの技術者」にエストニアが求めた“スキル”とは?:先進的な行政のAI活用事例【前編】
行政におけるIT活用に取り組むエストニア。同国は、AI技術を活用した仮想アシスタント「Bürokratt」の運用を2022年に開始した。何が可能となるのか。開発にはどのようなスキルが求められるのか。
バルト海に面した人口約130万人のエストニアは、人工知能(AI)技術に基づく次世代の行政サービス構築に取り組む。行政サービスは、仮想アシスタント「Bürokratt」を通じて提供する。エストニア政府は、この仮想アシスタントの開発支援に取り組む技術者を世界中から募集した。
仮想アシスタント開発に求められるスキルとは?
エストニア政府は、以下の職種に就業可能な人材を、世界貿易機関(WTO)加盟国から募集した(募集は現地時間2022年9月6日をもって終了)。
- ソフトウェア開発者
- データサイエンティスト(データを収集、分析してビジネスの課題を解決する職種)
- データアナリスト(データを収集、分析して知見を提供する職種)
- データアーキテクト(分析や活用のためのデータを整備、管理する職種)
こうした人材の採用に当たり、同政府はソフトウェア開発や言語技術(LT)、機械学習のスキルを重視した。
採用された人材は、2022年にサービス提供を開始したBürokratt関連の業務に携わることになる。Appleの音声アシスタント「Siri」に類似したこの仮想アシスタントは、AI技術を用いたアプリケーションだ。ネットワークを介して行政サービスを利用する国民に対し、パーソナライズ化したサポートサービスを提供する。
例えば、国民が運転免許証の更新や出生登録、納税申告書の提出などの手続きを完了する必要がある個人に対し、Bürokrattが事前に通知を送信する。エストニア政府はこのようにBürokrattを活用することで、数百万ユーロの管理コストを削減できるという。
ITを行政サービスに取り入れる「電子政府」実現への取り組みは、世界において先例が豊富ではない。エストニアはこの分野における“第一人者”だと言える。
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