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“脱クラウド”どころか「はじめからクラウドを使わない」が有力な選択肢に「脱クラウド」する企業の言い分【中編】

ユーザー企業はコストを削減するために、クラウドサービスの利用方法を変え始めている。クラウドサービスの使い方はどのように変化しているのか。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行の影響を受け、ユーザー企業では初期導入コストがかからず、インフラの調達を容易にするクラウドサービスの導入が進んだ。だが企業の間でクラウドサービスの契約見直しが進んでいる。

 調査会社のIDCは、2022年の世界のクラウドサービス関連コストが8305億ドルに達すると予測する。2021年からの増加率は17.5%となり、2020年から2021年の増加率である18.3%よりも低い。同社の予測によると、2022年から2023年の増加率はさらに減速し、16.3%になるという。

「真っ先にクラウドを選ぶ」はもう“時代遅れ”

 「アプリケーションを実行するためのインフラを検討する際に、コストを意識する風潮が強くなっている」。データサイエンスベンダーDomino Data Labで戦略的パートナーシップと経営企画担当バイスプレジデントを務めるトーマス・ロビンソン氏は、こう話す。「大量のデータを使用する機械学習システムを、クラウドサービスとオンプレミスインフラ、コロケーション施設に分散させる動きもある」とロビンソン氏は説明する。

 Domino Data Labはデータサイエンティスト向けに、さまざまなインフラで機械学習モデルの開発と実行、管理ができるデータ分析アプリケーション「Domino Enterprise MLOps Platform」を提供している。「当社のユーザー企業は、機械学習モデルを実行するインフラとして、真っ先にクラウドサービスを選ぼうとはしなくなった」とロビンソン氏は語る。「今まで以上に検討が慎重になった」(同氏)

 がん研究向けの機械学習モデルを開発している、ある製薬会社は、クラウドサービスで実行するモデルにP(ペタ)B規模のデータを取り込むと、膨大なコストがかかることを知った。「大量のデータをクラウドサービスで利用すると、あっという間に利用料金が上がってしまう」とロビンソン氏は語る。この製薬会社では、クラウドサービスで研究用モデルを1つ実行するには数千万ドルのコストがかかり、オンプレミスインフラのコストより20%から40%高くなるという試算結果が出た。

 データサイエンスベンダーDatatronのユーザー企業は、クラウドサービスの利用方法を見直して、ワークロード(アプリケーション)をクラウドサービスからオンプレミスインフラに移しているという。同社のユーザー企業の約20%は小売企業だ。

 Domino Data LabとDatatronの両社では、クラウドサービスに加えて、オンプレミスインフラでもデータサイエンスアプリケーションを実行するユーザー企業が増えているという。そのため両社は、複数のインフラで実行している機械学習モデルを一元的に可視化するための管理ツールを開発中だ。

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