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なぜマルチクラウドなのか? 金融機関が語る“ロックイン回避”よりも深い理由「クラウドの真実」を金融機関CTOに聞く【後編】

複数のクラウドサービスを組み合わせた「マルチクラウド」を採用する、金融機関JPMorgan Chase。なぜマルチクラウドなのか。その理由を同社CTOに聞く。

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 「複数の大手クラウドベンダーの能力を活用するために、当社はマルチクラウド(複数のクラウドサービスを活用すること)を採用している」。金融サービス企業および投資銀行を子会社として持つ銀行持ち株会社、JPMorgan Chaseの最高技術責任者(CTO)を務めるアンドリュー・ラン氏はこう語る。

単なる“ロックイン回避”ではない「マルチクラウドを選ぶ理由」

 「必要に応じてアプリケーションを、あるIaaS(Infrastructure as a Service)から別のIaaSに移行できる方法を採用している」とラン氏は語る。JPMorgan Chaseがこうしたインフラの“抽象化”を試みているのは、従業員の生産性を高めるためだ。「基本的には開発者も、データサイエンティストも、仕事をするに当たってインフラを意識する必要はないと考えている」(同氏)

 アプリケーションの展開を加速するために、JPMorgan Chaseは「Policy-as-Code」(コードによるポリシー管理)と「Infrastructure-as-Code」(コードによるインフラの構成管理)といった考え方を採用している。開発速度を最適化する取り組みは、同社にとっての優先事項であると同時に、他社との競争上の優位性にもなったという。

 「自社のIT環境で進める全ての業務において摩擦を減らすのが、われわれの目標だ」とラン氏は語る。同氏のチームは、開発者がシステムを素早く開発したり、データサイエンティストが分析モデルをさらに速いペースで作成したりするための支援を続けているという。

 JPMorgan Chaseが「OmniAI」という社内ツールを開発したのは、こうした生産性向上の取り組みの一環だ。OmniAIはデータサイエンティストが分析に必要なデータを見つけ、それがどのようなデータかを理解し、分析モデルの作成にデータをどのように活用できるかを把握するのに役立つ。

 「イノベーティブ(革新的)なエンジニアが、企業文化の抜本的な変化を促している」。証券・投資銀行業務を手掛ける金融機関Credit Suisseで最高技術責任者(CTO)を務めるジョアン・ハンナフォード氏は、こう強調する。

 クラウドなどの技術革新に直面し、その技術を採用してきた企業の中で、新技術導入に関する話し合いをリードしたのは「まさにエンジニアだった」とハンナフォード氏は振り返る。「イノベーションに対処するために、企業はエンジニアの声に耳を傾けるべきだ」と同氏は語る。

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