ChatGPTに慣れた人はググることをやめるのか、やめないのか:OpenAIの技術でGoogleに挑むMicrosoft【後編】
「ChatGPT」などのAIチャットbotが、検索エンジンに取って代わるかどうかは議論の余地がある。ただし専門家によると、AIチャットbotが検索エンジンに影響を及ぼすことは確実だ。検索エンジンはどう変わるのか。
人工知能(AI)ベンダーOpenAIの「ChatGPT」をはじめとするAIチャットbot(AI技術を活用したチャットbot)は完璧ではない。それでもAIチャットbotは、Googleの「Google検索」などの検索エンジンに影響を及ぼすことは確実だと専門家は指摘する。どのような変化が生まれるのか。
少なくとも“今の検索エンジン”はなくなる?
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「幾つか小さな問題はあるとしても、AIチャットbotが検索エンジンに取って代わる有力な候補だと考える人は少なくない」。調査会社Opus Researchのアナリスト兼ファウンダー、ダン・ミラー氏はこう語る。検索エンジンに肩を並べないとしても、AIチャットbotは検索エンジンに一定の変化を及ぼすとミラー氏はみる。
検索エンジンが検索キーワードに基づいて何千件ものWebページを返すのに対し、AIチャットbotは検索結果を絞り込んで質問に対する回答を提供する。「幾つものWebページを検索する必要がないことから、検索エンジンよりもAIチャットbotの方が優れていると考える人がいる」。ノースイースタン大学(Northeastern University)のAI研究組織「Institute for Experiential AI」(EAI)で教育カリキュラムのディレクターを務めるマイケル・ベネット氏は、こう説明する。
AIチャットbotの影響により、検索エンジンは「検索結果の自体の見た目や操作性を変化させる可能性がある」とミラー氏はみる。Microsoftは同社の検索エンジン「Bing」にOpenAIの技術を活用し、検索のユーザーインタフェース(UI)を変化させようとしている。
Webページの作成手段として、AIチャットbotを利用することは可能だ。ただしAIチャットbotが作成したWebページに、Googleなどの検索エンジンベンダーが広告を掲載する場合、不都合が生じる恐れがある。
ベネット氏は、例えばChatGPTが生成するコンテンツには「現状では信頼性の欠如が指摘されており、正確性や倫理性に問題がある可能性がある」と指摘。こうした問題のあるWebページにGoogleの広告が掲載されれば「『Googleが出す広告は信用できない』と思われる事態を引き起こしかねない」と同氏は説明する。
OpenAIなどのベンダー各社は、今後もAIチャットbotの改善や更新を進めると考えられる。「AIチャットbotと検索エンジンとの間にある差は縮まる」とベネット氏は指摘する。
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