どうするSAPの“2027年問題” 「Rise with SAP」は解決策となるのか?:「S/4HANA」移行の課題【後編】
SAP ECCから「S/4HANA」へ移行する企業はさまざまな悩みを抱えている。その解決策となり得る「Rise with SAP」とは何なのか。ユーザー企業が同サービスに注目する理由とは。
SAPのERP(統合業務)システム「SAP ERP Central Component」(以下、ECC)の保守サポート終了が2027年に迫る。ユーザー企業がECCの次世代版「SAP S/4HANA」(以下、S/4HANA)への移行を進める中で注目が広がりつつあるのが、ERPシステムのクラウドサービス移行を支援するサービス群「Rise with SAP」だ。
「Rise with SAP」でS/4HANA移行を加速
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連載:「S/4HANA」移行の課題
「Rise with SAP」導入事例
Rise with SAPは、ユーザー企業がS/4HANAへの移行を迅速に完了し、その活用を推進できるようにSAPが支援する。同サービス群にはS/4HANAの利用だけではなく、クラウドのインフラ管理をはじめとしたマネージドサービスが含まれる。
英国とアイルランドにおけるSAPユーザー企業団体UKISUG(UK and Ireland SAP User Group)の会長を務めるポール・クーパー氏は、企業のRise with SAPに対する理解は進みつつあるとみる。「S/4HANA移行を加速させるための選択肢として、Rise with SAPを検討する動きが広がっている」(クーパー氏)
一方でクーパー氏は、Rise with SAPを利用した移行がERPシステムのランニングコストに与える全体的な影響を考慮する必要があると警告する。例えば、S/4HANAを管理するために、スキルアップや新たなスキル習得が必要になる場合もある。
SAPで英国とアイルランドにおけるS/4HANAとRise with SAPのサプライヤー担当責任者を務めるジェームズ・ベイツ氏は「マクロ経済の厳しい状況には関係なく、S/4HANAへの移行を実施する企業が目立つ」と話す。このことから、ERPシステムの刷新がユーザー企業の優先事項になっているとベイツ氏はみる。
Rise with SAPを通して、SAPはユーザー企業が移行時に実施すべき作業を引き受ける。「Rise with SAPを採用することで、ユーザー企業は自社の人材をより価値のある分野に配分し、ビジネスの成果を拡大させる取り組みに着手できる」(ベイツ氏)
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