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「HDD」が急に“全然売れなくなった”理由転機を迎えるHDD【前編】

HDDの需要が今後は回復するとの見方がある一方、HDDベンダーの直近の売上高はひどい状況だ。パンデミックの余波があるとはいえ、楽観できる状況ではない。HDD市場はどうなっているのか。

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 データ保管の需要は今後も拡大すると見込まれ、HDD分野では大容量化のための技術進化が続いている。だが2022年の後半、ベンダーの売り上げが急落し、HDDが急に売れなくなった状況が判明した。レイオフ(一時解雇)に踏み切る動きもある。HDD市場で何が起きているのか。

HDDが“全然売れなくなった”理由はこれだ

 HDDの主要ベンダーはWestern DigitalとSeagate Technologyの2社だ。両社ともにHDDを大容量化するための技術開発に注力し、将来のHDDへの期待感が高まっている状況だが、直近の事業が振るわない。

 Western Digitalは2023年1月31日(現地時間、以下同様)に2023年度第2四半期(10〜12月期)の決算を発表した。売上高の合計は前年同期比約36%減の31億700万ドル、HDDの売上高は同34.5%減の14億5000万ドルとなった。同社CEOのデビッド・ゲッケラー氏は「コスト構造の最適化と流動性の強化を図った。パンデミック(感染症の世界的大流行)後のビジネス環境を想定した事業のリセットに向けた行動を取り続けている」と述べる。

 2023年1月25日、Seagate Technologyは2023年度第2四半期(10〜12月期)決算で3300万ドルの純損失を計上した。HDDの売上高は、前年同期比41.1%減の16億6300万ドルだった。同社は9月30日に終了した2023年度第1四半期(7〜9月期)決算では、同34.7%の減収を報告し、3000人の従業員を解雇する計画を明らかにしていた。

 Seagate TechnologyのCEOデイブ・モズレー氏は「特に大容量HDDの販売の落ち込みが激しい」と語る。モズレー氏は決算発表で、業績悪化の要因を複数挙げた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって中国で起きた各種規制で販売が鈍化したこと、ハイパースケーラー(大規模データセンターを運営する事業者)に対して「ニアラインHDD」の供給過剰が発生していたことなどだ。ニアラインHDDとは、頻繁に利用するデータを保管するHDDと、データを長期保存するためのHDDの中間的な役割を持ったHDDを指す。景気減速による需要の鈍化は、特に消費者向け市場に混乱をもたらしたとSeagate Technologyはみる。

 Western DigitalとSeagate Technologyの両社は、HDDの重要なセールスポイントの一つ「HDD1台当たりの記録密度」を向上させる取り組みを推進している。市場が好転すれば、その取り組みが生きてくることも考えられる。


 中編と後編は、HDDの大容量化や今後の先行きを紹介する。

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