SSD「オーバーヒート」の原因と対策【第3回】
SSDはなぜ「熱」で遅くなるのか? その“仕組み”はこれだ
過剰な発熱である「オーバーヒート」により、SSDの性能が悪化することがあるのはなぜなのか。その仕組みを理解するためには、SSDの“中身”を知る必要があるという。どういうことなのか。具体的な仕組みとは。
過剰に発熱する「オーバーヒート」が発生すると、データ読み書き速度や耐久性といったSSDの性能を悪化させる恐れがある。そもそもオーバーヒートは、なぜSSDの性能に影響を及ぼすのか。その仕組みを理解するには、SSDがどのようにデータを保存し、保護しているのかを理解する必要がある。
「熱」でSSDが遅くなる“仕組み”はこれだ
併せて読みたいお薦め記事
連載:SSD「オーバーヒート」の原因と対策
SSDの基礎知識
SSDを構成するNAND型フラッシュメモリは、内部のメモリセル(データを保存する最小単位の要素)に、電荷(物体が帯びている電気量)としてデータを保存する。メモリセル内で、電荷のもととなる電子を蓄えるのが、メモリセルごとにある電荷保持領域だ。
電荷保持領域には、大きく分けて多結晶シリコンの層である「浮遊ゲート」(フローティングゲート)と、シリコン窒化膜の層である「チャージトラップ」(電荷捕獲)膜がある。NAND型フラッシュメモリは、こうした電荷保持領域に電子を蓄えたり、放出したりして電荷を変化させることで、データの書き込みと消去を実現する。
オーバーヒートは、電荷保持領域内にある電子のエネルギーを増大させる。電子のエネルギーが大きくなると、電荷保持領域から電子が逃げやすくなる。そのためビット単位でデータに誤りが生じる「ビットエラー」の発生頻度が高くなり、誤り訂正符号による訂正が不可能な程度になることがある。
意図的に性能を落としてSSDを守る「サーマルスロットリング」
SSDベンダー各社は、オーバーヒートによるデータ保持問題の発生を回避するために、発熱を抑制する「サーマルスロットリング」という機構を考案。コンピュータとの接続制御を担う「SSDコントローラー」のファームウェアに広く実装している。NAND型フラッシュメモリが設計上の最高温度(コンシューマー向けの場合は70℃程度)に達すると、SSDはサーマルスロットリングを機能させ、NAND型フラッシュメモリの冷却を可能にするために性能を低下させる。
サーマルスロットリングにより、オーバーヒートの発生を抑制できるものの、性能の低下によりユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)が損なわれてしまう。設計が優れたサーマルスロットリングは、冷却効果を確保しつつ、性能低下を最小限に抑えたSSDを実現する。
次回は、SSDの主な冷却方法を整理する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー