「Google Cloud」を徹底活用 ドイツの金融機関がGoogleを選んだ納得の訳:「Google Cloud」を優先するドイツ取引所【後編】
2023年2月、証券取引所を運営するドイツ取引所とGoogle Cloudは提携強化を発表した。この提携の狙いは、金融市場にどのようなメリットをもたらすことにあるのか。
フランクフルトを拠点に証券取引所を運営するドイツ取引所(Deutsche Börse)は、2023年2月にGoogleとの10年間の戦略的パートナーシップ締結を発表した。両社は金融市場に何をもたらそうとしているのか。
「Google Cloud」を選んだ理由は明快
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連載:「Google Cloud」を優先するドイツ取引所
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ドイツ取引所は、オンプレミスのインフラとクラウドサービスを併用する「ハイブリッドクラウド」や、複数のクラウドサービスを組み合わせた「マルチクラウド」を取り入れるなど、積極的にクラウドサービスを活用してきた。Googleとの提携を拡大した目的は、クラウドサービス導入戦略の「節約と集中」に重点を置くことにあると同社は説明する。
今回の提携から10年間、Googleはドイツ取引所の優先的なクラウドパートナーとなり、クラウドサービス導入やシステムの効率化を支援する。Googleのクラウドサービス部門Google CloudのCEOを務めるトマス・キュリアン氏は、「今回の提携により、ドイツ取引所はGoogleのクラウドサービスのポートフォリオを細部まで活用できるようになる」と説明する。
ドイツ取引所のCEOテオドール・ワイマー氏は、「Googleを優先的なクラウドパートナーに選んだ背景には、イノベーションや技術進歩を重視する当社の企業風土がある」と話す。変化する市場をけん引するには、現状の需要を満たすだけでなく、将来を予測して動く必要もある。「当社が持つ金融の専門知識と、Google Cloudが持つ技術力を連携させ、ビジネスの成功につなげる」(ワイマー氏)
キュリアン氏は、「金融エコシステムの中心に位置する取引所は、金融市場のイノベーションや効率化を推進するために重要な役割を担っている」と話す。Googleとドイツ取引所が提携することで、金融市場にさまざまなビジネスチャンスやメリットをもたらすことができると同氏は見込む。特に重要な要素として同氏が挙げるのは、クラウドコンピューティングやデータ分析、人工知能(AI)技術などだ。
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