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PCが売れなくても“これ以上安くなる”とは言い切れない訳“PC不況”と各ベンダーの出荷状況【前編】

世界的にPCの需要が落ち込んでいる。その一方で販売価格は高止まり状態になる傾向があった。その理由や、背景に何があるのかを解説する。

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 企業は新しいPCの購入を手控える傾向にある。その一方で、PCの販売が振るわなくても販売価格が高止まりになる状況が見られた。調査会社Gartnerが2023年4月に公開した調査結果を基に、その理由と背景を解説する。

不況でもPCは安くならないのか

 Gartnerの調査によると、2023年第1四半期(1月〜3月)の世界のPC出荷台数は約5515万台で、2022年の同期から約30%落ち込んだ。

 中でもEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域のPC出荷台数は、前年同期比35.9%減と落ち込みが顕著だった。Gartnerでディレクターアナリストを務める北川 美佳子氏は、「2023年第1四半期は、政情不安やインフレ圧力、金利上昇、長引く景気後退などの影響が重なり、EMEA市場におけるPC需要は大幅減となった」と解説する。

 2023年第1四半期、各PCベンダーは在庫を一掃するため、既に流通しているPCの販売価格を値引きした。ただしそうした値下げは、一時的な対処になる可能性がある。

 Gartnerによると、各PCベンダーは価格の引き下げによる市場シェア獲得よりも、利幅の確保を優先する傾向にあった。「インフレが引き金となったサプライチェーンコスト上昇に伴い、各ベンダーが新しく流通網に出す新製品の平均販売価格は、高止まりの状態が続いた」と同社は説明する。


 後編は、各PCベンダーが受けた影響を具体的に見る。

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