「ChatGPT」継続のためにイタリア規制当局がOpenAIに突き付けた“ある条件”:生成AIが直面する規制【前編】
イタリアのデータ保護規制局は、国内における「ChatGPT」の使用禁止措置を、ある条件と引き換えに解除した。同局がOpenAIに突き付けた条件とは。
人工知能(AI)技術ベンダーOpenAIが手掛けるAI技術を活用したチャットbot(AIチャットbot)「ChatGPT」について、プライバシー問題が浮上している。この問題を受け、イタリアのデータ保護規制局GPDP(Garante per la Protezione dei Dati Personali)は2023年3月末、国内におけるChatGPTの使用禁止措置を発表。その後同局は、OpenAIが幾つかの改善策を実施することを条件に、使用禁止措置を解除した。どのような条件だったのか。
OpenAIが払拭を命じられた「ChatGPT」の“危ない要素”とは?
GPDPは、ChatGPTの提供を中止するようOpenAIに命じた理由として、以下の事項を挙げる。
- データ処理方法が、EU(欧州連合)全域を対象とするデータプライバシー法の「一般データ保護規則」(GDPR)に違反していること
- データ収集とデータ処理の目的が、機械学習(ML)に利用するためであることを裏付ける法的根拠がないこと
GPDPは他にも懸念点として、ChatGPTには年齢認証の仕組みがなく、13歳未満の子どもがChatGPTを使用する中で不適切な回答を目にする恐れがあることを挙げる。
GPDPは、セキュリティ面におけるこれらの懸念を払拭するための対策をOpenAIが講じるという条件の下で、使用禁止措置を解除すると公表。以下の項目について、GPDPが定めた対処を2023年4月末までに実施するよう命令した。
- データの取り扱いにおける透明性
- ChatGPTのユーザーかどうかを問わない、データ主体の権利
- データ主体は、氏名や住所などの個人情報を所有する個人のこと。
- ユーザーデータを使用してアルゴリズムを訓練することに関する法的根拠
OpenAIがこれらの要求に応じたことで、GPDPは2023年4月末にChatGPTのデータ処理に対する一時的な制限を解除。再びイタリアでChatGPTが使用可能になった。
中編は、OpenAIが取り組まなければならなかった事項を具体的に説明する。
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