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5Gに乗り換えたフェリー会社が「4Gでは耐え切れない」と判断した理由は?海上に広がる5G【第2回】

フェリー事業者TDSFは、乗客の安全を守るため、船舶と外部とが通信可能なカメラを複数設置している。そのためのネットワークに、同社は4Gではなく5Gを選んだ。その理由とは。

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 オーストラリアのフェリー事業者Transdev Sydney Ferries(TDSF)は、自社の保有するフェリーや埠頭(ふとう)、オフィスに「5G」(第5世代移動通信システム)を導入した。同社は所有するフェリー群に、合計で約800台の「CCTV」(閉回路テレビシステム)を設置している。その通信を担うネットワークは、なぜ「4G」(第4世代移動通信システム)ではなく5Gにする必要があったのか。

“タフなネットワーク”が船舶に必要だった理由

 乗客や従業員の安全を確保するため、TDSFは気象状況の好悪にかかわらず、船舶と外部の接続を常時確保し、CCTV映像をリアルタイムに監視しなければならない。常時接続とリアルタイム監視の実現は、同社資産の保護につながるというメリットもある。

 4Gで、これらの要件を実現することは困難だった。4Gは船舶と外部の通信において、安全確保に必要な映像を伝送するための帯域幅(通信路容量)や通信速度を確保できなかったからだ。

 映像の劣化は、外部からの調査や支援などに影響が出るため、安全に運航するための課題となる。逆に鮮明な映像があれば現場の詳しい情報が得られ、緊急時の安全確保が可能になる他、日常業務でも乗客からの苦情を調査できるメリットがある。

 これらの理由から、帯域幅(通信路容量)や通信速度を十分に確保できるネットワークは欠かせない。TDSFは、鮮明なCCTV映像を確実に伝送し、同社の技術チームがトラブルシューティングに費やす時間と人的リソースを削減するため、5Gに移行する必要があると判断した。


 第3回は、TDSFが5Gを用いてどのようなネットワークを構成したのかを紹介する。

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