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データ使用量の増加が止まらない――爆増させる“真犯人”は?地球に優しいネットワークを作る【第1回】

データの発生場所がパンデミックで変わった。ネットワークを介してさまざまな場所でデータを処理する動きが世界中で加速している。データが増える現状と背景を分析する。

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 円滑な企業運営にネットワークがいかに不可欠であるか――。この重要性を意識している経営者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が起きるまでは珍しかった。パンデミックを経て、従業員がオフィスに出社しない働き方が広がり、その働き方を支えるためにネットワークが重要になっている。

 データの発生場所が変わっただけではなく、企業のデータ処理の負荷が増大している。データ処理には電力が必要だ。データ処理の負荷増大は世界中で起きているため、地球環境問題にも発展する懸念がある。まずはコンサルティング会社Arthur D. Littleがまとめた調査を基に、現状を見てみよう。

データ使用量を増やす“真犯人”とは?

 地球に優しいネットワークを実現するためには、データ処理の負荷が増大した理由に目を向ける必要がある。背景にあるのは、オフィスワークとテレワークの境目がなくなり、両者を組み合わせたハイブリッドワークが広がっていることだ。

 Arthur D. Littleは2023年5月に調査レポート「The evolution of data growth in Europe」を発表した。同レポートは、欧州におけるユーザー1人当たりのデータ使用量と、固定回線を利用する1家庭当たりのデータ使用量に関する調査結果をまとめた。

 同レポートによれば、通信回線を介して使用する平均データ量は、欧州全体で着実に増えている。ユーザー1人当たりのデータ使用量は2018年に1カ月当たり約5GBだったのが、2022年は1カ月当たり約15GBに増加した。Arthur D. Littleは、ユーザー1人当たりのデータ使用量が、2030年には1カ月当たり75GBに達すると見込んでいる。月間データ使用量は、1日当たりのオンライン利用時間と、1時間当たりのデータ使用量を乗算して求めている。

 1家庭当たりの固定回線でのデータ使用量は、2022年では1カ月当たり225GBだったが、2030年には1カ月当たり900GBにまで増えるとArthur D. Littleは予測する。固定回線のデータ使用量を押し上げている主な要因は動画だ。2022年のデータ使用量における動画の割合は65%だったのが、2030年には75%にまで増えると同社は見込む。


 第2回はデータ処理量の増加について、インターネットサービスプロパイダーの視点から分析する。

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