データが増え過ぎて企業の「コンプライアンス」が崩壊――そんな数年後を予測:バックアップツールの将来動向【第6回】
企業がバックアップを取得する理由の一つは、コンプライアンスの向上だ。これから起きる変化の中で、その取り組みは限界を迎える可能性がある。どういうことなのか。
クラウドサービスの普及やコンテナの活用といった新たな動向を受けて、企業のバックアップはさまざまな変化を遂げてきた。その変化を促すのは、技術的な要因に限らない。コンプライアンス強化も、そのうちの一つだ。企業のバックアップは、これから起きる変化に付いていけるのか。
コンプライアンス強化とその“限界” 何が起きる?
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連載:バックアップツールの将来動向
- 第1回:新時代の「バックアップ」はこう変わる
- 第2回:ランサムウェアに対抗できるバックアップ技術は?
- 第3回:SSDも“バックアップの主役”になる? ストレージに起きる変化は
- 第4回:「STaaS」や「BaaS」だけじゃない クラウド時代のバックアップとは?
- 第4回:「自律型バックアップ」でPRO、RTOの判断までも機械任せに? その現実は
高まるデータ保護の重要性
バックアップツールベンダーは、データ保護に関する規制は徐々に強化されると見込む。その場合、適切なデータを適切な期間にわたって確実に保持するために、企業は自社のデータを細部まで把握する必要がある。
将来的に、レジリエンス(回復力)を高めるためのバックアップ機能は、これまで以上にアプリケーション側に組み込まれるようになると考えられる。それはデータ保護がより堅牢(けんろう)になり、企業のコンプライアンスが向上することを意味する。それと同時に、バックアップツールにかかる負担は軽減する可能性がある。
一方で、企業が保有するデータ量の増加は懸念点だ。ストレージベンダーPure StorageのフィールドCTO(最高技術責任者)を務めるパトリック・スミス氏は、「全てのデータを永久に保管する状態は避けるべきだ」と警告する。
今後5年から10年の間に、企業が扱うデータ量が急速に増大してもおかしくない。企業は法規制への準拠やコンプライアンスの強化、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃への対策としてバックアップを重視しているが、スミス氏は「データ量が増え過ぎれば、バックアップデータを維持できなくなる可能性がある」と指摘する。
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