Seagateの「22TB」の新HDDと「20TB」を比較 今後の“見どころ”も:22TB「以上」の価値をHDDに【中編】
22TBのHDDを新たに発売したSeagate。新モデルの詳細を前モデルと比較しながら解説するとともに、今後の製品開発の動向について予測する。
HDDベンダーのSeagate Technology(以下、Seagate)は、2023年4月に容量22TBのHDD「Seagate IronWolf Pro 22TB HDD」を発表した。その後、NAS(ネットワーク接続ストレージ)ベンダーのQNAPと一部製品のポートフォリオを統合すると発表した。統合した製品の中には、今回発表したSeagate IronWolf Pro 22TB HDDも含まれている。本稿では同製品の機能を紹介する。
「20TB」モデルから何が変わったのか?
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前モデルの「Seagate IronWolf Pro 20TB HDD」と比較した主な違いは以下の通りだ。
- プラッタ(円盤状の記録媒体)の追加
- プラッタの枚数が前モデルの9枚から10枚に増加。各プラッタは2.2TBの容量を持つ
- 平均消費電力の増加
- 前モデルよりもやや多くの電力を消費する。動作時の平均消費電力は20TBモデルが7.7ワットだったのに対し、22TBモデルは7.9ワットに増加。静止時の平均消費電力は5.7ワットから6.0ワットに増加した
- 最大連続データ転送速度
- 285Mbpsで、前モデルと同じ
一般的に、30TBのHDDを実現するためには、「SMR」(Shingled Magnetic Recording:シングル磁気記録方式)または「HAMR」(Heat Assisted Magnetic Recording:熱アシスト磁気記録方式)のどちからの方式が必要と考えられている。SeagateはIronWolf Proシリーズにはどちらの方式も採用していないが、SMRまたはHAMRを採用するHDDを2023年中には発表する計画だ。
Seagateは、ストレージの接続規格「SAS」(Serial Attached SCSI)の12Gbpsの仕様を同社製品が今後採用するかどうかを明言していない。SASは一般的に「SATA」(Serial ATA)による接続に比べて高速かつ高信頼だが、費用が高くなる。
企業はSSDを選ぶ際、1つ目のメモリセルに4bitを格納する記録方式「QLC」(クアッドレベルセル)を使ったNAND型フラッシュメモリ搭載のSSDを採用する傾向にある。QLCのNAND型フラッシュメモリは、一般的に耐久性が低く安価だ。この傾向を踏まえると、SeagateはSAS採用による製品価格の高騰を懸念している可能性がある。
後編では、SeagateとQNAPのパートナーシップの詳細を解説する。
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