無線LAN運用をベンダー任せにする「マネージドWi-Fi」の何が駄目なのか:オペレーターマネージドWi-Fiの未来【後編】
エンドユーザーにとってWi-Fiが欠かせなくなった昨今、Wi-Fiの新たな課題が浮上している。その現状を踏まえ、業界団体のWBAは通信事業者に警告を送る。
無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)は、「Wi-Fi」のネットワークを通信事業者(オペレーター)が運用までセットで提供する「オペレーターマネージドWi-Fi」(以下、OMWi)に関する技術レポートを発表した。レポート名は「Operator Managed Wi-Fi:Reference Architecture and Requirements」で、通信事業者が参照できるレファレンスアーキテクチャとなっている。WBAがOMWiのレファレンスアーキテクチャを作成した背景には、現状に対する危機感がある。
WBAが「マネージドWi-Fi」の現状に抱いている危惧とは
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無線LANを変革し続けるWBA
「今日、Wi-Fiという言葉はインターネットそのものと同じだと捉えられるようになった」と、WBAのCEOを務めるティアゴ・ロドリゲス氏は語る。同氏は、エンドユーザーが感じるインターネットのQoE(Quality of Experience:体感品質)は、Wi-Fiネットワークの通信速度といった品質に依存するようになっていると分析する。
こうした現状を踏まえてWBAが通信事業者に指摘するのは、「通信事業者は屋内Wi-Fiをより適切に管理する必要に迫られている」ということだ。
市場には幾つものOMWiサービスが存在しているが、データ収集や遠隔管理の他、網目のようにネットワーク機器をつなぐメッシュ構成などの方法は、通信事業者ごとに異なっている。このため、一貫した運用管理や設計のOMWiサービスをエンドユーザーに届けることが困難になっている。
WBAと加盟企業は、この状況を変えようと努力している。「その成果の一つが、標準規格をまとめた今回のレファレンスアーキテクチャだ」とロドリゲス氏は強調する。レファレンスアーキテクチャは、標準規格を導入フェーズから運用フェーズに至るまで規定しているため、通信事業者は屋内Wi-Fiの構築から運用のコストを削減し、異なるネットワークとの相互運用性を改善することができる。これにより、人的リソースをQoEの改善に集中できるはずだ。
通信事業者AirtiesのCEO兼CTO(最高技術責任者)であり、WBAの理事であるメティン・タスキン氏は、次のように語る。「WBAの業界横断的な努力のおかげで、世界各国の通信事業者は、屋内Wi-Fiのレファレンスアーキテクチャを参照できる」
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