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「コンピュテーショナルストレージ」が“扱いにくい異端児”なのはなぜ?コンピュテーショナルストレージへの期待【第4回】

コンピュテーショナルストレージの利用を考える場合、一般的なSSDなどのストレージとは異なる視点で検討すべき点があり、ストレージの利用に問題を引き起こす可能性がある。その論点を整理しよう。

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 SSDは通常、他の機器と接続するためのインタフェースなどの仕様を統一することで、製品同士に互換性を持たせている。そのため、ユーザーは複数ベンダーの製品を比較しながら、よりコストパフォーマンスの良い方を選ぶことができる。だが「コンピュテーショナルストレージ」が台頭すると、そうした“自由度”が失われる可能性がある。背景にある問題を整理しよう。

「コンピュテーショナルストレージ」は“期待”でも扱いにくい?

 コンピュテーショナルストレージは、特定の機能を実行するための演算機能を内部に搭載するストレージだ。さまざまなストレージベンダーが、プログラム可能な特性や、特定の機能を盛り込んだコンピュテーショナルストレージを開発してきた。

 業界団体Storage Networking Industry Association(SNIA)といったストレージ分野の専門組織は、コンピュテーショナルストレージの標準化を進めるために多大な労力を費やしてきた。だが現状、市場にあるコンピュテーショナルストレージの仕様は個々に異なっており、製品間の互換性は不十分と言わざるを得ない。企業やエンドユーザーがコンピュテーショナルストレージを導入する場合、その用途は単一のストレージ製品だけで運用しても構わないアプリケーションに限定されてしまう可能性がある。

 別の問題としては、コンピュテーショナルストレージを活用する際に、ソフトウェアの変更が必要になる点がある。その作業が容易ではないことが、コンピュテーショナルストレージの普及を妨げる要因になっている。

 コンピュテーショナルストレージは、応答速度を上げるなどシステムのパフォーマンス向上に役立つことは確かだ。だがそれを実現するには、既存ソフトウェアのソースコードの一部を変更し、サーバが担っていた特定の役割をコンピュテーショナルストレージに担わせる必要がある。この作業は複雑だ。ソースコードの変更はバグを生み出す可能性がある。こうした事情から、リスクを避けたい企業がコンピュテーショナルストレージの導入を見送る傾向にあることは否定できない。

 コンピュテーショナルストレージの種類は、大きく2つに分けることができる。必要な特定の機能を自由に実装できるプログラム可能型と、あらかじめ特定の機能を実装している機能固定型だ。今後、市場では機能固定型の製品が支持を集めると考えられる。機能の実装やシステムの変更に手間が掛かることから、プログラム可能型の利用が広がるにはかなりの時間が掛かる可能性がある。

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