「Rancher」「OpenShift」「Tanzu」のスケーリング機能の違い 何を自動化する?:Rancher、OpenShift、Tanzuを比較【第5回】
Kubernetesクラスタの運用においては、負荷状況に応じて適切なリソースを割り当てる必要がある。リソースのスケーリングにおいて、「Rancher」「Red Hat OpenShift」「VMware Tanzu」が提供する機能の違いとは。
コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」でコンテナクラスタ(Kubernetesクラスタ)を運用する際、効率化の鍵になるのが自動化だ。例えばコンテナ化されたアプリケーションは、負荷に応じてメモリやストレージなどのリソースの要求量が変化する。そうした変化に対処するには、スケーラビリティ(拡張性)と信頼性の両方を備えた自動スケーリング機能が必要だ。SUSEの「Rancher」、Red Hatの「Red Hat OpenShift」(以下OpenShift)、VMwareの「VMware Tanzu」などのKubernetesクラスタ管理ツールはどのようなスケーリング機能を持つのか。以下で紹介する。
違い4.スケーリング機能
Rancher
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連載:Rancher、OpenShift、Tanzuを比較
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- 第2回:「Rancher」「OpenShift」「Tanzu」を比較 Kubernetesクラスタ管理の違いは?
- 第3回:「Rancher」「OpenShift」「Tanzu」をデプロイ機能で比較 何が違う?
- 第4回:「Rancher」「OpenShift」「Tanzu」のログ機能を比較 具体的な違いは?
Kubernetesクラスタの扱い方
「Pod」(ポッド)は、コンテナを管理する最小単位だ。ポッドの自動スケーリング機能を「Horizontal Pod Autoscaler」(HPA)と呼ぶ。RancherにおいてHPAのルールや目標を設定することで、CPU使用率が特定の値に達したときやメトリクス(指標)が条件を満たしたときに、ポッド数を増やすことができる。設定にはユーザーインタフェース(UI)またはKubernetesマニフェスト(Kubernetesクラスタ内にデプロイするポッドやアプリケーションの設定情報)を利用可能だ。「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」といったクラウドサービスでKubernetesクラスタを運用する場合は、カスタムメトリクスや、CPU使用率に応じてルールベースの自動スケーリングを利用できる。
OpenShift
ワークロード(アプリケーション)の要求の変動に合わせてポッド数を自動スケーリングしたいエンドユーザーのために、OpenShiftはネイティブHPAを提供している。Kubernetesの「Cluster Autoscaler」は、Kubernetesクラスタ内のノード(物理サーバまたは仮想マシン)を自動でスケーリングするプログラムだ。Cluster AutoscalerとOpenShiftを併用することで、リソースの利用率の変化に基づいてKubernetesクラスタの自動スケーリングが可能になる。
Tanzu
Tanzuでは、HPAを通じてCPU使用率などのメトリクスを監視しながら、ポッド数を自動で調整できる。Kubernetesが標準で提供するHPAと連携させれば、リソースの変動に応じてアプリケーションの複製数をスムーズに調整可能だ。Microsoft Azure、AWS、サーバ仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」が搭載するKubernetesクラスタの自動スケーリング機能は、特定のルールに基づいてノードを自動調整する仕組みを持つ。
次回は、セキュリティ機能を比較する。
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