データセンターは生成AIでどう変わるのか【前編】
生成AIがいくら魅力でも「データセンターで使えない」のはなぜ?
「生成AI」は広く企業が利用する技術になると考えられる。ただし生成AIを組み込むシステムは、従来使われてきた業務システムとは根本的に異なるものになる可能性があるため、企業は幾つかの点に注意が必要だ。
テキストや画像を自動生成する「生成AI」(ジェネレーティブAI)を企業がデータセンターで実行するとなると、従来のシステムとは異なる幾つかの点に配慮する必要がある。サーバラックや電源などデータセンター設備を手掛けるVertiv Groupでアプリケーションエンジニアリング部門のディレクターを務めるスラウォミール・ディジウラ氏は、「生成AIを実行する際の消費電力を正確に計算した人はいないため、設備に求められる要件はまだ不確かだ」と警告する。
暗号資産(仮想通貨)のマイニング(暗号資産の取引内容を承認し、その対価として暗号資産を得ること)を禁止した国が抱いていた懸念と、生成AIの導入に伴う懸念は似ているとディジウラ氏は指摘する。具体的に、企業が生成AIを導入する際に考慮すべき点としてディジウラ氏が挙げるのは、以下の通りだ。
- GPU(グラフィックス処理装置)といったプロセッサや、ストレージなどのリソースをより消費する
- 構築や運用には十分な知識を持ったエンジニアが必要になる
- 生成AIを業務で利用するには事前に膨大な検証をする必要がある
- IT管理者にとっては新しいITスキルや管理ツールが必要になる可能性がある
一方で「アプリケーションとインフラ管理者のスキルを高めるために生成AIを利用できる可能性がある」とディジウラ氏は語る。
生成AI導入時にデータセンターの何を見直すべきか
「生成AIを扱うデータセンターでは、リソース使用量やインフラの管理方法、セキュリティ対策を見直す必要がある」。英国のセキュリティベンダーNCC Groupでチーフサイエンティストを務めるクリス・アンリー氏はそう述べる。
アンリー氏によれば、AI技術を扱うデータセンターの構成は、他の業務システムに適したデータセンターの構成とは基本的に異なる。まず、生成AIの構築に必要なデータ処理能力を備えたインフラを実現するには、大規模な分散ストレージシステムを用意する必要がある。生成AIのアプリケーションは1台のサーバだけでは十分に実行できない場合があり、複数のGPUを使ってアプリケーションの負荷を分散させることが必要になる点も考慮する必要がある。サーバの冷却方法や電力の供給方法、ネットワーク構成なども、AI技術の利用を前提にした設計する必要がある。「データセンターのあらゆる要素を再考しなければならない」と同氏は語る。
中編は、生成AIがデータセンターのセキュリティやエンジニアに与える影響を深堀りする。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[ネットアップ合同会社] 金融庁ガイドラインから読み解く、「次世代データレジリエンス」の在り方 -
製品資料
[ネットアップ合同会社] 製造DXでデータ活用ニーズが拡大 分散データ活用とAI活用をどう実践する? -
製品レビュー
[ネットアップ合同会社] AIで使いたいデータが内外に点在、研究におけるAI活用を阻む“真の課題”とは -
製品資料
[株式会社kickflow] 稟議・承認作業の「脱オンプレ・脱Excel・ペーパーレス化」を一気に進める方法 -
製品レビュー
[株式会社kickflow] ワークフローシステムのクラウド化 “みんなが不幸になる”事態を避けるには?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「契約業務のAI活用」に関するアンケート
-
2
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
-
3
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
4
「有線LAN環境」に関するアンケート
-
5
「エージェントを作るな、スキルを作れ?」 Anthropicが提唱するAI運用の勘所
-
6
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
7
シャトレーゼを悩ませる偽メール 混乱なしでBIMI導入とDMARC強化を実現した方法
-
8
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
9
障害対応に「余裕なし」が9割超 運用担当316人調査で見えた「運用赤字」
-
10
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー