「リフト&シフト」がぴったりな企業、向かない企業の違い:リフト&シフトはどんな場合に最適?【後編】
クラウドサービスへの引っ越し方法として人気の「リフト&シフト」。しかし、リフト&シフトは全ての企業に適切な方式ではない。どのような企業が、どのような場合に採用するべきかを解説する。
オンプレミスのシステムをそのままクラウドサービスに移す「リフト&シフト」方式は、システムを再構築する余裕はないがクラウドサービスに移行する必要がある企業にとって有効な方法だ。ただし、どのような場合にもリフト&シフト方式が適するわけではない。
リフト&シフト方式がぴったりな企業
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連載:リフト&シフトはどんな場合に最適?
リフト&シフトの落とし穴
ドキュメントが整備されていない、またはリバースエンジニアリング(構造を分析し、動作やソースコードなどの技術情報を調査して明らかにすること)
が困難なシステムの設定やスクリプトを扱う場合、リフト&シフト方式が適している。通常、企業にとってリフト&シフト方式による移行は、最もリスクを抑えられるからだ。同様の理由で、継続稼働が必須のシステムを持つ企業にとってはリフト&シフト方式が有効だ。
主要なクラウドサービスであれば、自動移行ツールが充実している。そのためITリソースやシステム停止のリスクを抑えることができる。
サードパーティー製のアプリケーションは企業がソースコードを変更することができない。そのため、オンラインストレージサービス「Googleドライブ」(Google Drive)や決済サービス「PayPal」などをクラウド移行後も利用し続けるなら、リフト&シフト方式を取らざるを得ないだろう。
リフト&シフト方式を使うべきではない場合
一方で、新しい稼働環境でシステムを使用する前にデータの再設計やリファクタリング(挙動を変えずにプログラムの内部構造を変更すること)が必要な場合、リフト&シフト方式は適さない。
特に医療業界や金融業界は、クラウドサービス利用時に追加のセキュリティやコンプライアンス(法令順守)の要件が必要になることがある。そのため、オンプレミスにおける構成や設定のままでは各業界の基準を満たせないことがある。その場合はクラウド移行の際に、リファクタリングが必要になるだろう。
レガシーなシステムはそもそも、クラウドサービスに移行する価値がない場合がある。その場合はシステムのデータや機能を別のシステムに統合するか、リファクタリングするなど、別のアプローチを検討すべきだ。
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