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何も変えないクラウド移行「リフト&シフト」が招く“予想外の結末”とは「脱クラウド」これだけの理由【第7回】

脱クラウドの理由として、オンプレミスのアプリケーションをそのままクラウドサービスに移行させる「リフト&シフト」にまつわる問題がある。それは何なのか。

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 いったんクラウドサービスに移行させたアプリケーションをオンプレミスインフラに戻す「脱クラウド」(オンプレミス回帰)が、ユーザー企業の間で広がりつつある。システムインテグレーターのCSIでCTO(最高技術責任者)を務めるニック・ウェストール氏は、ユーザー企業の脱クラウドの要因として、オンプレミスシステムと比較した場合のコストの問題を挙げる。「クラウドサービスを利用していると、突如として毎月の請求書に書かれている利用料金の桁数が変わることがある」(ウェストール氏)

リフト&シフトが招く“想定外の結末”

 ウェストール氏によると、ユーザー企業が脱クラウドに踏み切る理由はコストだけではない。もう一つの理由が、オンプレミスシステムをそのままクラウドサービスに移す「リフト&シフト」にまつわる、ある問題だ。

 ウェストール氏が担当する、あるユーザー企業は、金融サービスの夜間バッチ処理プログラムをオンプレミスインフラで実行していた。このユーザー企業は、アプリケーションのインフラとしてクラウドサービスを最優先で検討する「クラウドファースト」の方針に基づき、夜間バッチ処理プログラムをクラウドサービスに移行させた。その際に採用した手法が、オンプレミスシステムをそのままクラウドサービスに移す「リフト&シフト」だ。

 クラウドサービスへの移行により、夜間バッチ処理プログラムのデータ処理速度は「かつての数倍以上遅くなった」とウェストール氏は明かす。データ処理速度を維持するには、データ転送量を管理するために、クラウドストレージの一定領域を余剰領域として確保する「オーバープロビジョニング」が必要なことが判明したという。

 アプリケーションによっては、リフト&シフトでも問題なく機能する。一方でクラウドサービスの利用量増大を抑えるために、利用頻度を制限したり、コストの高騰を受け入れたりしなければならないアプリケーションもある。こうしたアプリケーションは、クラウドサービスへの移行時に手直しが必要になり得る。


 第8回は、クラウドサービスへのアプリケーション移行計画を立てる際に考慮すべきことを説明する。

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