HDDの基本を解説 「RAID 0」は何がなくて「RAID 1」は何に使える?:変化するRAIDの仕組み【第2回】
「RAID」はHDD(またはSSD)のデータを保護し、可用性とパフォーマンスを向上させる仕組みだ。RAIDレベルごとの違いや、それぞれの長所と短所、それぞれに適する用途を知っておこう。
「RAID」(Redundant Array of Inexpensive Disks)は、複数台のHDDを1台のストレージとして運用し、データの可用性を高めたり、読み書き速度のパフォーマンスを高めたりする仕組みだ。近年はSSDでRAIDを構成することもある。RAIDではデータ保護や性能などの要件に応じて使い分けることのできるレベルが定義されている。非標準のものを含めて、さまざまな仕組みが存在する。まずは“基本中の基本”となる、「RAID 0」や「RAID 1」を押さえておこう。
基本的な「RAID」の長所と短所、使える用途
RAID 0
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変化するRAIDの仕組み
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RAID 0は単純なストライピングだ。ストライピングは全てのデータを、RAIDを構成する複数のHDDもしくはSSDに、チャンク(断片化したひとまとまりのデータ)単位で分散させて書き込む。データ保存の負荷が複数の物理ディスクに分散されるため、読み書きの速度が向上する。
RAID 0ではデータを移動する際に、移動先にデータが正常に書き込まれたことを確認するための方法であるパリティ(2進数の誤り検出符号)を使用しない。つまり、データの冗長性やフォールトトレランス(障害発生時も稼働を継続可能であること)がない。
- 長所
- 読み書きの性能のパフォーマンス向上。複数のHDDにまたがってデータを書き込むので、データ読み書きのIOPS(1秒当たりの入出力数)が高くなる。
- 実装が簡単。
- データ保存のためにだけ記録領域を使用する。データの冗長性を確保するために容量を使う必要がない。
- 全RAIDレベルの中で最もオーバーヘッド(処理に掛かる余分な負荷)が少ない。
- ほとんどのストレージ製品で利用できる。
- 短所
- データ保護の対策としては全RAIDレベルの中で最も弱い。
- パリティがないため、1つのHDDが故障するとRAID全体に障害が発生する。この場合、故障したHDDを交換し、RAIDをリビルド(再構成)し、バックアップからデータを復元する必要がある。
- 用途
- ミッションクリティカルではないアプリケーション用のストレージ。
- データの読み書きを高速で実行したい用途。
RAID 1
RAID 1はミラーリングを使用する。ミラーリングは、全てのデータを2つ以上のHDD複製して書き込む。各HDDは基本的に互いの写し鏡(ミラー)となる。1つのHDDが故障しても、別のHDDからデータを取り出すことができる。最低2台のHDDが必要だ。ほとんどのストレージアレイベンダーは、3台以上のHDDでミラーリングができるようにしている。
- 長所
- 初歩的なものであってもデータ保護の対策が必要で、必要とする読み書き性能を1台のHDDで満たせる場合に適する。
- プライマリーとなる1つのHDDが故障した場合、複製したデータを保存しているHDDから、即座にフェイルオーバー(待機システムに切り替えること)できる。
- 短所
- データを最低2台のHDDに書き込むため、書き込み速度が遅くなりがち。この課題を解消するRAIDコントローラーがある。
- 複数台のHDDに同じデータがあるので、利用できる容量が少なくなりがち。
- 用途
- 1台のHDDでパフォーマンスの要件を満たしつつ、シンプルな方法で可用性を高めたい用途。
- コンピュータの起動のためのデータを格納する起動ディスク(ブートディスク)のコピーを保存するなど、サーバOS用途でよく使われる。
次回は、「RAID 10」(RAID 1+0)と「RAID 2」を取り上げる。
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