LenovoとDellに追い風 生成AI時代に躍動するサーバベンダー:生成AIで絶好調のサーバベンダー【後編】
生成AIへの関心の高まりから、サーバベンダーの業績が好調だ。HPEは生成AIに注力する方針を示した。LenovoとDell Technologiesはどうか。
AI(人工知能)技術への関心が強まっている。特にテキストや画像を自動生成するAI技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)への関心がユーザー企業からも集まっており、GPU(グラフィックス処理装置)を搭載したサーバの需要が拡大傾向にある。
例えば、サーバベンダーのHewlett Packard Enterprise(HPE)は生成AIへの需要増を受けて、生成AIに特化した製品・サービス群を強化している。サーバベンダーのLenovoでも同様の動向が見られる。
AI戦略が加速するLenovo
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AI市場で争うチップベンダー
Lenovo会長兼CEOのヤンチン・ヤン氏は人工知能(AI)技術と同社のビジネスの関係性について「当社は『ポケットからクラウドまで』のあらゆる領域で製品を提供し、これらの全てでAI機能を活用する」と言及する。
2023年10月、LenovoとNVIDIAは全てのユーザー企業に生成AIを提供するという共通のビジョンの下、パートナーシップ拡充と、複数の新製品を発表した。パートナーシップ拡大の柱となるのは、ラック型サーバ「Lenovo ThinkSystem SR675 V3」とデスクトップワークステーションの「ThinkStation PX」だ。以下の部品を採用している
- CPU「NVIDIA L40S」
- DPU(データ処理装置)「NVIDIA BlueField-3」
- ネットワークスイッチ「NVIDIA Spectrum-X」(Lenovo ThinkSystem SR675 V3に搭載)
これらの製品を搭載するLenovoのハードウェアは、AIアプリケーション運用ソフトウェア群「NVIDIA AI Enterprise」の実行に最適化されている。NVIDIA AI Enterpriseに採用されているフレームワーク(プログラム開発に必要な機能の集合体)「NVIDIA NeMo」により、クラウドサービス群「NVIDIA AI Foundations」で利用可能な企業向け大規模言語モデル(LLM)をカスタマイズできる。
Dell Technologies
サーバベンダーのDell Technologiesも、AI技術に最適化されたサーバの需要が高まっていると見ている。同社の最高執行責任者(COO)のジェフェリー・クラーク氏は次のように述べる。「世界各国のユーザー企業が生成AIを活用して自社ビジネスを効果的に推進する方法を、CEOや取締役会レベルで模索している」
生成AIへの関心が、AIに最適化されたDell Technologies製サーバの売り上げ増加につながっている。「2023年度の第2四半期と比較して、2023年度第3四半期(8〜10月期)のAI最適化サーバの受注数はほぼ2倍に増加し、数十億ドル規模の販売網が形成され、全世界で関心が強まっている」(クラーク氏)
Dell Technologiesは、NVIDIAと共同で開発した生成AIサービス「Dell Validated Design for Generative AI with NVIDIA」を提供している。同サービスは、Dell Technologiesがユーザー企業向けのベストプラクティスを共有することを強みとしてアピールしている。
ユーザー企業が独自でAIモデルをトレーニングする「ファインチューニング」のベストプラクティスもDell Technologiesは公開している。同社は、「ユーザー企業が自社独自のデータを用いて、特定のタスクに合わせた生成AIモデルを調整する複数の方法を今後も提供する」と説明している。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Lenovo、Dell Technologiesのサーバベンダー3社が示した受注増加は、ユーザー企業におけるIT製品の購買担当者がAI最適化ハードウェアへの支出を重視する傾向を反映している。AI分野の取り組み拡大に伴い、受注増加は今後も続く可能性がある。
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