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メインフレームが“消える”どころか「AI時代に息を吹き返す」のはなぜ?メインフレームは生き残るのか?【後編】

これからメインフレームが再び注目を集める可能性がある。それを促す要因の一つが、AI技術の活用が進むことだ。メインフレームの活用にどのような影響を与えるのか。

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 「終わりが近い」とささやかれてきたメインフレーム。その見方に反して、企業はまだメインフレームを使い続けると考えられる。移行の困難さや代替が簡単ではないことも背景にあるが、今後の重要な要因になる可能性があるのがAI(人工知能)技術の普及だ。メインフレームが使われる期間にどのような影響を与えるのか。

AI時代に「メインフレーム」が再び脚光を浴びる理由

 これからの時代はビジネスプロセスの自動化が欠かせない。ITコンサルティング企業Communications Network Architectsでプレジデントを務めるフランシス・ジュベック氏によると、データベースベンダーは自動化とオーケストレーション(設定や管理、運用のプロセスの自動化)に優先して取り組んでいる。AI技術を活用すれば、大半の業務プロセスを自動化できる。アナリストが有望視する生成AIツールとして、AIベンダーOpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」などがある。

 急成長するAI時代に課題となるのが、CPU(中央処理装置)やメモリ、ストレージへの負担だ。AIモデルのトレーニングや大規模言語モデル(LLM)の処理に用いるデータセットがますます大規模化する中で、メインフレームが脚光を浴びている。最新世代のメインフレームや、メインフレーム向けのストレージは、従来よりも処理の高速化とコスト効率の向上が進んでおり、AI技術の活用に適するからだ。

 AI技術を活用して運用支援や運用の自動化を進めることで、メインフレーム運用を担う人材を見つけやすくなることも重要な視点だ。長年にわたりメインフレーム運用に携わってきたベテラン技術者が引退する中で、メインフレーム技術者の不足が深刻化している。これからは、メインフレームの経験がなくてもAI技術に精通する人材を採用して、運用保守を任せることができる。

 上述した要因を踏まえると、メインフレームのライフサイクルは長期化する傾向にあるといえる。メインフレームの運用チームは今後を見据えて、アプリケーションのドキュメントを作成して適切に保管することが重要だ。さらにセキュリティ強化に向けて管理ツールや監視ツールを活用する他、ロールベースのアクセス制御の実装や、データベースの定期的な整理整頓にも取り組むべきだ。

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