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そこまでSSDにやらせるか? ベンダーが開発する“AI組み込みSSD”の可能性AI搭載SSDは何に使えるのか【中編】

FlexxonやSamsung、Synopsysなどのベンダーが、SSDにAI技術を搭載する研究開発を進めている。SSDに搭載されるAI技術は、どのような用途に役立つのか。

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SSD | 人工知能 | 機械学習 | ストレージ


 「SSD」にAI(人工知能)技術を組み込む開発が進んでいる。SSDにおいて、AI技術はデータ読み書き速度の向上やセキュリティ対策などさまざまな点でイノベーション(技術刷新)をもたらす可能性がある。実際にベンダーが手掛ける開発は一様ではなく、それぞれに特色がある。

SSDで未知の脅威をスクリーニング

 AI技術は、特定のパターンから逸脱しているパターンを認識することに活用できる。

 シンガポールを拠点とするSSDメーカーのFlexxonは、マルウェアのスクリーニングにAI技術を採用している。同社のSSD「X-PHY AI Cyber Secure SSD」はAI技術を搭載し、読み書きするデータやデータの転送パターンをリアルタイムでモニタリングし、マルウェアを検出する。ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)は通常、特有のパターンでデータにアクセスしている。AI技術でこのパターンを識別する手法はマルウェアのシグネチャ(マルウェアを判別するためのデータ)を必要としない。そのため未知の脅威の検出に有用なのではないかとFlexxonは期待している。

データをその場で前処理する

 SSDに搭載されたAI技術は、データ処理をサーバからオフロードするためにも活用できる。こうすることで、データをストレージにインポートしたり、ストレージからエクスポートしたりする必要がなくなる。

 SSDコントローラーを手掛けるMarvell Technologyは、SSDに内蔵するAI機能を使って、SSD内に保存されたデータのメタデータを生成するという発案をしている。Marvell Technologyは半導体ベンダーのNVIDIAと共同で、このアイデアを実現するためのSSDコントローラーのPoC(概念実証)を実施した。

 Marvell TechnologyはこのAI機能で膨大な非構造化データセットにタグを付与し、画像処理やビデオ分析、テキスト処理のための前処理をSSDで実行することを目指している。

 電子機器ベンダーのSamsung ElectronicsもAI搭載SSDの研究開発を進めている。同社はAI関連のタスクをSSDにオフロードして、サーバ側のプロセッサの負荷を軽減する方法を提示している。

 プロセッサの設計を手掛けるSynopsysは、プロセッサの「DesignWare ARC」を提供している。同社はエンベデッドビジョン(視覚情報を処理するシステム)向けのプロセッサ「DesignWare ARC EV」の開発と提供を通じて、"完全にプログラム可能でスケーラブルなAIシステム“の提供を目指している。


 後編はAI搭載のSSDを選ぶときの注意点を説明する。

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