検索
特集/連載

Lenovoサーバが「AMDプロセッサ」も使う理由 なぜNVIDIAだけではない?AMDのEPYCやGPUも採用、多様化するサーバ

LenovoがNVIDIAやIntelだけではなくAMDとの提携を拡大し、AI技術向けのサーバとHCIの選択肢を拡充している。プロセッサの選択肢が増えることはサーバの選択において何を意味するのか。Lenovoの狙いは。

Share
Tweet
LINE
Hatena

関連キーワード

人工知能 | AMD | GPU | CPU | サーバ


 Lenovoは新たに提供するサーバやHCI(ハイパーコンバージドインフラ)の製品において、AI(人工知能)技術向けの多様な選択肢を用意している。GPU(グラフィックス処理装置)を含めたプロセッサとしてはNVIDIAやIntelだけではなくAdvanced Micro Devices(AMD)の製品を採用するなど、多角的な視点でAI技術向けのサーバ拡充を進めている。その狙いはどこにあるのか。

なぜLenovoは「AMD EPYC」や「AMD製GPU」も採用するのか

 Lenovoのラックマウント型サーバ「ThinkSystem SR685a V3」は、AMDのCPU「AMD EPYC」シリーズの最新第4世代と、AMDのGPU「Instinct MI300X」を搭載する。大規模言語モデル(LLM)のトレーニングなど、コンピューティング集約型の用途向けに構成されたサーバだ。ThinkSystem SR685a V3は、オンプレミスのデータセンターとクラウドサービスの両方をターゲットにしている。

 エッジ(データの発生源の近く)向けとして、同社は「ThinkAgile MX455 V3 Edge Premier Solution」を発表した。これはオンプレミスインフラとクラウドサービスを連携させて利用することを前提にした、MicrosoftのHCI(ハイパーコンバージドインフラ)「Azure Stack HCI」用に設計されたサーバだ。これと同時に発表になった「ThinkSystem SD535 V3」は、1U(ユニット)ハーフ幅のコンパクトなエッジサーバとなっている。ThinkSystem SD535 V3は、AMDとIntelのアーキテクチャを1つの筐体(きょうたい)で同時に利用できるようにしている。

 Lenovoでバイスプレジデント兼サーバおよびストレージ、ソフトウェアデファインドインフラストラクチャ(SDI)担当ゼネラルマネジャーを務めるカムラン・アミニ氏によると、同社はさまざまな要件を満たすサーバを提供することを重視している。「AI技術の用途は、フリーサイズのTシャツのような1つのもので要件を満たせるものではい」とアミニ氏は述べる。

 ThinkSystem SR685a V3は、AI技術の用途に重点を置いている。最新のAMD EPYCと最大8基のGPUを搭載する他、NVIDIAのGPUも利用可能だ。NVIDIAのGPUとしては「NVIDIA HGX H100」「NVIDIA HGX H200」「NVIDIA HGX B100」を選択できる。用途としてはAI技術だけでなく、詐欺の検出や防止、金融サービスなども想定に入っている。

 Lenovoは、Dell TechnologiesのようなサーバベンダーとAI市場で競争することを目指す一方で、プロセッサベンダーとの提携拡大や、AI技術向けインフラ製品のポートフォリオ拡充を急ぐ。NVIDIAのハイエンドGPUをThinkSystem SR680a V3に採用したこともその一環だ。それ加えて同社はAMDの最新GPUに目を向けた。その狙いについて、調査会社Gartnerのアナリスト、シド・ナグ氏は「顧客が幾つかの用途で必要とするGPUを一通り提供できるようにするためだ」と説明する。

エッジ向けAI戦略

 AI技術による推論やリアルタイム分析用に、Lenovoはエッジ向けのHCIや小型サーバを拡充しようとしている。その一つが、Azure Stack HCIとして動作するThinkAgile MX455 V3 Edge Premier Solutionだ。ThinkAgile MX455 V3 Edge Premier Solutionは最大6基のGPUを搭載できる。

 「サーバ業界はAIモデルのトレーニングを重視しており、それがより多くのGPUを採用することにつながっている」とナグ氏は述べる。エッジでの用途についてはトレーニングよりも推論が主流になっているという。何らかの機能を持ったトレーニング済みのAIモデルが、エッジで予測したり結論を出したりするのだ。「Lenovoは、エッジで実行する推論をAzure Stack HCIの用途として重視している」(同氏)

 一方でThinkSystem SD535 V3の特徴は、1つの筐体にIntelとAMD両方のアーキテクチャを搭載可能なことだ。「1つの筐体にIntel製品とAMD製品を両方搭載することにより、Lenovoは複数の技術を組み合わせることでより多くのメリットを提供しようとしている」。調査会社のFuturum Groupのアナリスト、スティーブン・ディケンズ氏はそう述べる。

 顧客に選択肢を与え過ぎるのが必ずしも良いことではないという見方もある。選択肢が増えると設計の複雑さが増したり、検討すべき点が増えたりするからだ。「Lenovoの選択肢が多過ぎるわけではないが、市場進出の戦略から見れば、提供するものを厳選することが有効な手段になることもある」とディケンズ氏は語る。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る