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いまさら聞けない「クラウド」の基礎知識 IaaS、PaaS、SaaSの違いは?:クラウド技術入門【前編】
「クラウド」という言葉は日常生活のさまざまな場面で使われるようになった。クラウドコンピューティングの仕組みや利用形態、メリットなど基本を確認しよう。
「クラウド」という言葉は、普段の生活でもよく見かける存在になった。簡単に説明すると、「クラウドコンピューティング」とはネットワークを介して事業者の提供するコンピューティングリソースを利用することおよびその仕組みだ。クラウドコンピューティングで利用するサービスを「クラウドサービス」と呼ぶ。
実際にユーザー企業やエンドユーザーが利用するクラウドサービスにはさまざまな利用形態や制約が存在する。クラウドサービスを支える技術も単純ではない。その仕組みと利用形態、メリットについて解説する。
「クラウド」の基礎知識 IaaS、PaaS、SaaSの違いは?
クラウドサービスが普及する前、ユーザー企業はアプリケーションを社内のデータセンターまたはコロケーション(データセンターの場所貸しサービス)で利用していた。クラウドサービスを利用する場合は、クラウドサービスベンダーのデータセンターでアプリケーションを利用する。
クラウドサービスを利用するメリットは以下の通りだ。
- 自社でインフラの購入や保守をする必要がないため、人手やコストを削減できる可能性がある
- インターネットを介して、時間や場所を問わずクラウドサービスベンダーのデータセンターに保存されたデータにアクセスできる
- クラウドサービスベンダーのバックアップシステムを利用すれば緊急時にデータを復旧させやすい
一方で、クラウドサービスには以下のデメリットやリスクがある。
- クラウドサービスベンダーによる機密情報の取り扱い方法に懸念が生じる可能性がある
- クラウドサービスでのデータ管理に必要なスキルを持つ従業員を見つけにくい場合がある
- クラウドサービスベンダーを切り替える際、データの移行やアクセスが問題となる可能性がある
クラウドサービスには基本的な3つの提供形態がある。それぞれ異なるレベルでワークロードの可視性と権限を提供する。モデルは以下の通りだ。
- IaaS(Infrastructure as a Service)
- 仮想化技術を利用してハードウェアリソースを提供する
- 仮想マシン(VM)をプロビジョニング(配備)するためのインフラを提供する
- ユーザーはOSのレイヤーから監視ができる
- PaaS(Platform as a Service)
- データベースやアプリケーションサーバなどのミドルウェアを提供する
- ユーザーはデータやアプリケーションをデプロイできる
- ユーザーはミドルウェア内でのアプリケーションの動作を監視できるが、物理レイヤーを監視することはできない
- SaaS(Software as a Service)
- アプリケーションへのアクセスを提供する
- ユーザーはそのアプリケーションが扱っているユーザー情報や設定情報のみを監視できる
次回はクラウドコンピューティングと関係が深いクラウドネットワーキングについて解説する。
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