AI分野でこそ「女性が活躍している」のはなぜか?:STEM分野における女性活躍の現状【第4回】
IT業界における女性活躍の機会はどのように変化しているのか。特に目立っているのが、AI(人工知能)分野における女性の活躍だ。
IT業界で働く女性の数は着実に増加傾向にある。男性中心のイメージが根強く残りつつも、女性の活躍の幅はさらに広がっている。特に目立っているのが、人工知能(AI)分野での女性の活躍だ。AI分野でこそ女性の活躍が進んでいるのはなぜなのか。
なぜAI分野でこそ「女性が活躍している」のか?
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連載:STEM分野における女性活躍の現状
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IT業界に対する女性の本音
テキストや画像、音声などのデータを生成するAI技術「生成AI」が登場し、その回答に含まれる性別や人種のバイアス(偏見)を懸念する声が上がっている。
通信会社Telus Communicationsで5G&インダストリーソリューション担当バイスプレジデントを務めるジョディ・バクスター氏は、「AIモデルの出力におけるバイアスを回避するために、企業は多様な学習データを用意する責任がある」と指摘する。
データの準備の過程では、技術スキルと同様にソフトスキルが重要となる。例えばAIモデルの開発では、技術的課題だけでなく、倫理的な問題にも対処する必要がある。「複雑な倫理的問題を理解し、適切な判断を下すためのスキルを持ち合わせている女性がこの分野で活躍している」(バクスター氏)
IBMが2024年3月に公開したブログエントリ(投稿)で、「責任あるAI」(AI技術の活用において公平性や透明性、安全性の確保を考慮すること)の取り組みにおいて女性の活躍が目立っていると紹介している。同社は著名な女性リーダーとして、以下の人物を挙げている。
- 世界初のAI倫理最高幹部ケイ・ファース・バターフィールド氏
- 米国立標準技術研究所(NIST)で、AI技術の倫理的基準に関する取り組みを主導するエルハム・タバシ氏
- AI技術のバイアス(偏見)削減に取り組む非営利団体EqualAIの社長兼CEO、米国国家人工知能諮問委員会(NAIAC)の議長を務めるミリアム・ヴォーゲル氏
- Salesforce初の、倫理的かつ人道的なAI使用の最高責任者ポーラ・ゴールドマン氏
- AIベンダーCredo AIの創設者兼 CEOナブリナ・シン氏
- スタンフォード大学(Stanford University)の研究プロジェクト「Human-Centered Artificial Inrelligence」のコディレクターを務めるフェイ・フェイ・リー氏
次回は、IT業界で女性がさらに活躍するために何を変えなければならないのかを考える。
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