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開発現場で語られ始めた「DevOps終わり論」の真相DevOpsの気になる未来【後編】

ソフトウェア開発の品質向上や効率化を目指すアプローチ「プラットフォームエンジニアリング」が人気となる一方で、DevOpsは終わりを迎えるとの意見も一部で出ている。それは本当なのか。

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 開発者の生産性向上を目的に、ソフトウェアデリバリーやインフラ管理を自動化したり効率化したりするアプローチである「プラットフォームエンジニアリング」への注目が集まっている。この次世代の開発アプローチによって、DevOps(開発と運用の融合)は廃れるのではないか、という意見も出ている。DevOpsには今後どのような変化があるのか。

語られ始めた「DevOps終わり論」の真相

 プラットフォームエンジニアリングを採用することで、ソフトウェアの迅速なデリバリーを可能にし、開発者のエクスペリエンス向上にも効果がある。

 調査会社Gartnerの予測によると、2026年までに、ソフトウェア開発に携わる企業の80%がプラットフォームエンジニアリングを推進するプラットフォームチームを設立し、ソフトウェア開発とIT運用の連携を促進させるという。

 プラットフォームエンジニアリングの台頭が、DevOpsの存在を脅かすという意見もある。TechTargetの調査部門であるEnterprise Strategy Groupでアナリストを務めるポール・ナシャワティ氏は、「どちらか一方が取って代わるようなものではない」と語る。なぜならプラットフォームエンジニアリングは、DevOpsのプロセスを補完し、さらに効果的にするための手法だからだ。DevOpsチームはプラットフォームエンジニアが作ったガードレール、つまり、管理された環境や標準化されたツールセットの中で作業することができ、より迅速なソースコード生成やデリバリーが可能となる。

 一方で、プラットフォームエンジニアリングの実現には時間がかかる点に注意が必要だ。ナシャワティ氏は、「プラットフォームエンジニアリングには、DevOpsとは異なるスキルセットやマインドセットが必要だ」と指摘する。DevOpsの担当者がすぐにプラットフォームエンジニアになれるわけではない。

プラットフォームエンジニアリングとDevOpsの今後

 調査会社Global Market Insightsは、2021年には約70億ドルだったDevOps市場が、2028年には少なくとも300億ドルに成長すると予測している。その背景には、自動テストツールや自動開発ツールの需要の高まりがあるという。

 自動化が進めば面倒な作業は不要になり、将来的にはDevOpsチームが運用保守から解放されて創造的なタスクに集中できるようになる、とナシャワティ氏は考える。インシデント管理やデプロイメント(配備)、セキュリティ、コンプライアンスといったタスクが自動化されることで生産性が向上し、最終的にはDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速につながるという。

 開発者や運用チームに求められるスキルも変わる可能性がある。例えば、機械学習(ML)を含むAI(人工知能)技術といった複雑なスキルなどが含まれる。一方で、ITスキル不足は依然として深刻な問題だ。多くの企業が、AI技術や自動化をはじめとするITスキル不足に悩んでいる。

 組織が進化を続ける中で、プラットフォームエンジニアリングの人気は今後ますます高まるだろう。DevOpsチームの未来は、組織の行動次第で変わる。既存のシステムを維持しつつ、プラットフォームエンジニアリングをはじめとする新しい技術や手法をどう取り入れるかが、組織におけるDevOpsの今後を左右する。

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