ネットワークエンジニアこそ「AIは敵か味方か」論争を深く考えるべき理由:ネットワークエンジニアとAI【前編】
AI技術は新たなサービスを創出したり、既存業務を効率化したりする恩恵をもたらしている。一方でAI技術に仕事を奪われている職種もある。ネットワークエンジニアにとっては、AI技術はどのような存在か。
AI(人工知能)技術は今や目新しいものではなく、さまざまな分野で有用性を発揮している。テキストや画像を生成するAI技術「生成AI」ツールによってこの潮流は加速している。しかし、誰もがAI技術を受け入れているわけではない。
一部の人は「AI技術が労働者の仕事を奪う」「AI技術に順応しなければ時代遅れになる」といった脅威におびえている。ネットワークエンジニアにとってAI技術はどのような存在になるのか。
ネットワークエンジニアにとって「AIは敵か味方か」がなぜ重要なのか?
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AI技術に順応できない職業であれば、AI技術は敵になる可能性がある。「CLI」(コマンドラインインタフェース)や「API」(アプリケーションプログラミングインタフェース)といった技術を取り入れてネットワークを運用するネットワークエンジニアは、技術の激しい変化に順応できる職種だ。
今後、企業が利用するAIワークロード(AIアプリケーション)は増加する。ネットワークエンジニアはAI技術の可能性を理解する必要がある。AI技術を理解して準備することで、膨大なAIアプリケーションを効率的に利用できるネットワークを構築できるはずだ。
「セキュリティオペレーションセンター」(SOC)チームに所属しているネットワークエンジニアもいる。SOCチームは脅威ハンティング時に、手動でインシデントの処理やデータの分析をすることがある。AI技術を組み込んだ自動化ツールを使うことで、脅威ハンティングを効率化できる可能性がある。SOCチームは意思決定に必要な情報を生成AIを介して得ることで、より脅威に適切に対処できるようになる。総じて、SOCチームはAI技術によって、業務を簡素化してより難しく重要なタスクに専念できるはずだ。
AIを活用することで、ネットワークエンジニアの業務はより効率的に進められるようになる。ネットワークエンジニアがAI技術の活用で目標とすべき項目は次の通りだ。
- データ分析能力や予測能力を利用した意思決定の高度化
- 他のタスクに取り組むための時間の確保
- 問題の根本的な分析や戦略の策定など、現状は人間がAI技術より優れているとされている業務の効率化
AI技術は従業員の代わりになれるとは限らない。一方で、熟練のエンジニアがAI技術を使ってフィードバックを返すようになれば、AIアプリケーションは一段と進化するだろう。今からAI技術を仕事に取り入れれば、いずれはネットワークエンジニアにメリットをもたらすはずだ。進化の後ではなく、進化の過程にあるAI技術に対する理解が得られるからだ。
次回はAI技術を導入する前にネットワークエンジニアが押さえておくべき開発の知識を紹介する。
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