いまさら聞けない「CAN」と「MAN」の違い 大学がよく使うネットワークとは:定番から応用までネットワークを学ぶ【第2回】
ネットワークはその規模や目的によって複数の種類がある。大学などで使われる「CAN」と都市などが利用する「MAN」についてそれぞれの特徴を解説する。
ITにおけるネットワークはコンピュータ同士を接続する仕組みの総称だ。その規模や範囲によってさまざまな種類があり、それぞれに特徴や用途が異なる。ネットワーク担当者は多様なネットワークを理解することで、適切に運用管理ができる。「CAN」(キャンパスネットワーク)と「MAN」(メトロポリタンネットワーク)を解説する。
大学などの敷地に使われるCANの特徴とは
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連載:定番から応用までネットワークを学ぶ
ネットワークは違いを明確に
CANは、大学や企業などの敷地内に複数の建物がある場合に、それらの建物間をつなぐネットワークだ。キャンパス内の各建物にあるLANが相互接続したものを指す。
後述するMANに比べて小規模なネットワークであり、キャンパスを運営する組織が全てのネットワーク機器やインフラを所有して運用することもある。
通常、CANとインターネットはつながっている。ネットワーク担当者は無線LANのホットスポットをキャンパス内に構築することで、エンドユーザーにインターネットアクセスを提供することができる。
CANの主なユースケースは以下の通りだ。
- 大学や学校
- 各学部棟、図書館、研究室などをネットワークでつなぎ、学生や教職員が自由にアクセスできるようにする
- 企業
- 本社や支社、工場などをネットワークでつなぎ、社内全体の情報共有や業務効率化を図る
- 医療機関
- 病院の病棟、検査室、事務室などをネットワークでつなぎ、患者の情報管理や医療用システムを導入する
MAN(メトロポリタンエリアネットワーク)
メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)は都市や市区町村といった広範囲な地域をカバーするネットワークだ。LANがオフィスビル内など限られた範囲をカバーするのに対し、MANは都市全体を一つのネットワークでつなぐ。複数の自治体のネットワークを相互接続した場合もMANと呼ぶ。
MANではLANと同様、有線または無線によるさまざまな接続手段を選択できる。光ファイバー、イーサネットケーブル、Wi-Fi、携帯電話回線などがその例だ。
MANの主なメリットは以下の通りだ。
- 広域なカバレッジ(通信可能エリア)
- 一つのネットワークで都市全体をカバーして、住民や企業が場所を選ばずにネットワークを利用できる
- 高速通信
- MANの多くは、LAN間の接続に光ファイバーケーブルを使用しており、建物の外壁や電柱などに設置されている無線LANアクセスポイント(AP)を比較的高速で接続する
MANは都市に接続を提供することで、スマートシティーに必要な要素を実現する。主なユースケースは以下の通りだ。
- 都市インフラのネットワーク
- 市役所や図書館、公園などにインターネット接続を提供し市民の利便性を向上させる
- モノのインターネット(IoT)による温度や湿度、風速などの環境モニタリング
- スマートグリッド(次世代送電網)
次回は「WAN」(ワイドエリアネットワーク)と「GAN」(グローバルエリアネットワーク)を紹介する。
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