Windowsのディスク容量を賢く使える「5種類のボリューム」とは?:Windowsディスク管理とコマンド【第4回】
Windowsでは、ディスク(ストレージ、記憶媒体)を管理する際に「ボリューム」という単位が使われる。ボリュームの5つの種類と、その作成方法を紹介する。
MicrosoftのOS「Windows」では、ディスク(ストレージ、記憶媒体)を管理する際に「ボリューム」という単位が使われる。ボリュームは、パーティション(物理的なディスクを分割した区画)にファイルシステムを適用した1つの論理的な記憶領域を指す。
Windowsのディスク管理では「ダイナミックディスク」という形態がある。これはより拡張性のあるストレージ管理の機能を提供するものだ。このダイナミックディスクでは、ストレージ管理のためのコマンド「diskpart」を使用して、「シンプルボリューム」「スパンボリューム」「ストライプボリューム」「ミラーボリューム」「RAID 5ボリューム」という5種類のボリュームを作成できる。5種類のボリュームの詳細は次の通りだ。
5種類の「ボリューム」とその作成方法
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シンプルボリューム
シンプルボリュームは、ダイナミックディスクの基本的なボリュームタイプ。1台のディスクのみで構成し、1つのパーティション内に存在する。
スパンボリューム
スパンボリュームは、複数のディスクにまたがって1つのボリュームを構成する。1つのより大きな記憶領域を作成するために、異なるディスクの未使用領域を組み合わせる。
ストライプボリューム
ストライプボリュームは、「RAID 0ボリューム」とも呼ばれる。ストライプボリュームは、2つ以上のディスクに分散してデータを書き込む。読み書き速度を向上させるために使用されることが一般的だ。
ミラーボリューム
ミラーボリュームは、ボリュームのコピーを別のディスクに作成する。これは、ディスクに障害が発生した場合にデータ損失を回避するのに役立つ。構成には、同じサイズのディスクを少なくとも2台用意する必要がある。
RAID 5ボリューム
RAID 5ボリュームはミラーボリュームと似ている。RAID 5ボリュームは「パリティ」(2進数の誤り検出符号)情報を使用してデータをディスク全体に分散する。構成には、少なくとも3台のディスクが必要だ。ミラーボリュームよりも拡張性は高いものの、復旧に必要な時間は長くなる。
5種類のボリュームの作成方法
シンプルボリュームの作成
以下の手順で500GBのシンプルボリュームを作成する。
- コマンドプロンプトで、「diskpart」と入力する
- 「list disk」と入力する。利用可能なディスクがリストアップされる
- 「select disk」と、その後にボリューム用のディスク番号を入力する
- 例えばディスク番号「1」を使うのであれば「select disk 1」
- 「create volume simple size=512000」と入力する
- 「exit」と入力する
スパンボリュームの作成
利用可能なディスク2台を使用して1TBのスパンボリュームを作成する手順は以下の通り。
- コマンドプロンプトで、「diskpart」と入力する
- 「list disk」と入力する
- 利用可能なディスクがリストアップされる
- 「select disk」と、その後に1台目のボリューム用のディスク番号を入力する
- ディスク番号「1」を使うのであれば「select disk 1」
- 「clean」と入力する
- これにより、選択したディスク上のデータ、パーティション、ボリュームを削除する
- 「create partition primary」と入力する
- これにより、ディスク上にパーティションを作成する
- 「select disk」と、その後に2台目のボリューム用ディスク番号を入力する
- ディスク番号「2」を使うのであれば「select disk 2」
- 「clean」と入力する
- これにより、2台目のディスク上のデータ、パーティション、ボリュームを削除する
- 「create partition primary」と入力する
- これにより、2台目のディスク上にパーティションを作成する
- 「select disk」と、その後に1台目のディスク番号を入力する
- 「create volume spanned size=1048576」と入力する
- これにより、2台のディスクにまたがって1TBのスパンボリュームが作成される
- 「exit」と入力する
ストライプボリュームの作成
ディスク2台を使用してストライプボリュームを作成する手順は以下の通り。
- コマンドプロンプトで、「diskpart」と入力する
- 「list disk」と入力する
- システム上の利用可能なディスクがリストアップされる
- 「select disk」と、その後に1台目のボリューム用のディスク番号を入力する
- ディスク番号「1」を使うのであれば「select disk 1」
- 「clean」と入力する
- これにより、選択したディスク上のデータ、パーティション、ボリュームを削除する
- 「convert dynamic」と入力する
- これにより、基本的なディスクタイプ「ベーシックディスク」をダイナミックディスクに変換する
- 手順3?5を2台目のディスクにも繰り返す
- 「create volume stripe disk=」、1台目のディスク番号、「,」(カンマ)、2台目のディスク番号と入力する
- ディスク1とディスク2にまたがる容量100GBのストライプボリュームを作成するのであれば「create volume stripe disk=1,2 size=100GB」
- 「format fs=ntfs quick label=」とその後に任意のラベル名を入力する。これにより、ボリュームがNTFSでフォーマットされ、好きなラベルを追加できる
- 例えば「format fs=ntfs quick label=MyDrive」
- 「exit」と入力する
ミラーボリュームの作成
ディスク2台を使用してミラーボリュームを作成する手順は以下の通り。
- コマンドプロンプトで、「diskpart」と入力する
- 「list disk」と入力する
- システム上の利用可能なディスクがリストアップされる
- 「select disk」と、その後にボリューム用の1台目のディスク番号を入力する
- ディスク番号「1」を使うのであれば「select disk 1」
- 「clean」と入力する
- これにより、選択したディスク上のデータ、パーティション、ボリュームを削除する
- 「convert dynamic」と入力する
- これにより、ベーシックディスクをダイナミックディスクに変換する
- 手順3?5を2台目のディスクにも繰り返す
- 「create volume mirror disk=」、1台目のディスク番号、「,」、2台目のディスク番号と入力する
- ディスク1とディスク2にまたがる容量100GBのミラーボリュームを作成するのであれば「create volume mirror disk=1,2 size=100GB」
- 「assign letter=」と、その後に使用されていない任意のドライブ文字を入力する
- 例えば「assign letter=E」
- 「format fs=ntfs quick label=」とその後に任意のラベル名を入力する
- これによるボリュームをフォーマット(初期化してファイルシステムを設定)し、ラベルを付けることができる
- 「exit」と入力する
RAID 5ボリュームを作成
RAID 5ボリュームを作成する手順は以下の通り。
- コマンドプロンプトで、「diskpart」と入力する
- 「list disk」と入力する
- システム上の利用可能なディスクがリストアップされる
- 「select disk」とその後にボリューム用の1台目のディスク番号を入力する
- ディスク番号「1」を使うのであれば「select disk 1」
- 「clean」と入力する
- これにより、選択したディスク上のデータ、パーティション、ボリュームを削除する
- 手順3?4を2台目のディスクと3台目のディスクに対して繰り返す
- 「create volume raid disk=」、1台目のディスク番号、「,」、2台目のディスク番号、「,」、3台目のディスク番号と入力する
- ディスク1、ディスク2、ディスク3を使うのであれば「create volume raid disk=1,2,3」
- 「format fs=ntfs quick label=」と、その後に任意のラベル名を入力する。
- これによりファイルシステム「NTFS」(New Technology File System)でボリュームをフォーマットし、ラベルを付けることができる
- 「assign letter=」と、その後に使用されていない任意のドライブ文字を入力する
- 「exit」と入力する
diskpartを使用したボリュームの削除方法
ディスク上のボリュームを削除する理由は幾つかある。ディスク領域の整理やファイルシステムの切り替えなどだ。diskpartを使用してボリュームを削除すると、ボリューム上のデータは完全に削除され、その空き領域を使用できるようになる。
以下の手順でボリュームを削除する。
- コマンドプロンプトで、「diskpart」と入力する
- 「list disk」と入力する
- システム上の利用可能なディスクがリストアップされる
- 「select volume」と、その後に削除したいボリューム番号を入力する
- ボリューム番号3を選択するのであれば「select volume 3」
- 「delete volume」と入力する
- 「exit」と入力する
次回はdiskpartを使ったトラブルシューティングの方法を紹介する。
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