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API開発を楽にする「TypeSpec」とは何か? 主要機能と特徴を解説API記述言語「TypeSpec」を徹底解説【前編】

API記述言語「TypeSpec」は、API設計プロセスの効率化にどのように貢献するのか。その特徴や主要な機能を紹介する。

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 API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を定義および記述する上で、API記述言語(API DL:API Description Languages)が役に立つ。「TypeSpec」はMicrosoftが開発したAPI DLだ。TypeSpecを使うことで、開発者にはどのようなメリットがあるのか。TypeSpecの成り立ちや特徴の解説を通してその魅力を探る。

「TypeSpec」の主要な機能と特徴は?

 TypeSpecはMicrosoftが開発したAPI DLで、同社のブライアン・テルソン氏の指揮下で2019年から開発が進められた。テルソン氏は、Azure開発者エクスペリエンスを担当するプリンシパルソフトウェアアーキテクトだ。

 開発者はTypeSpecを使うことで、APIに関する情報をソースコードとして記述し、それをAPIに実装できる。例えば、APIの形状(扱うデータのタイプや構造)や入出力(APIが受け取るデータや返すデータの形式)などだ。

 TypeSpecの大きな特徴として、Microsoftのエコシステムと密接に関連している点がある。TypeSpecのソースコードは、ソースコード共有サービス「GitHub」のMicrosoftリポジトリで公開されている。2024年11月現在は、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)でTypeSpecライブラリを利用できるが、他のクラウドサービスでは利用できない。加えて、TypeSpecと互換性のある開発ツールはMicrosoftの「Visual Studio Code」(VS Code)と「Visual Studio」に限られている。

 プログラミング言語「TypeScript」にインスパイアされて作られた言語であるTypeSpecは、「シンプルで読みやすいソースコード」の考え方を重視しており、TypeSpecはAPIを簡潔に記述できるように設計されている。

 TypeSpecは以下のような機能を備えており、これにより開発者はミスを減らしつつスムーズに作業を進めることができる。

  • フォーマット変換機能
    • 記述したソースコードを標準的なAPI仕様フォーマットに変換する機能。API定義を異なるチームやツール間で簡単に共有できるようになり、プロジェクト間での再利用性も向上する。
    • 例えば、APIの設計を説明するための標準仕様である「OpenAPI Specification」(OAS)の形式に変換し、その内容をYAMLファイルとして出力することが可能だ。
  • 自動フォーマット機能
    • ソースコードが一定のルールに従って記述されるよう、自動的に整形する。
  • エラー検出とオートコンプリート機能
    • リアルタイムで構文エラーを発見し、オートコンプリートを提案する。オートコンプリートを使うことで、過去の履歴を踏まえ、入力内容を予測して入力作業を自動化できる。
  • デコレーター
    • TypeSpecはTypeScriptと同様にデコレーターの概念を実装しており、ソースコードに追加の情報や機能を付け加えることができる。これにより、ソースコードの可読性や再利用性が向上する。

 次回は、TypeSpecのメリットとデメリットを紹介し、どのような開発者に適するのか解説する。

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