最適なクラウド戦略とは【後編】
クラウド優先か、ハイブリッドか、脱クラウドか――その決め手は?
企業はクラウドサービスを優先的に使う「クラウドファースト」と、必要に応じて利用する「クラウドスマート」のどちらを選ぶべきなのか。考慮すべき点を解説する。
クラウドサービスを優先的に採用する「クラウドファースト」と、クラウドサービスとオンプレミスを使い分ける「クラウドスマート」にはそれぞれ異なるメリットがある。クラウドサービスを利用する企業は、どちらの戦略を採用すればいいのか。「ビジネス要件」や「データの機密性」などさまざまなポイントを解説する。
クラウド戦略を決定する決め手とは
併せて読みたいお薦め記事
連載:最適なクラウド戦略とは
クラウドファースト成功の秘訣
企業は自社のクラウド戦略を検討する際に、以下の視点から考える必要がある。
ビジネス要件
技術トレンドに振り回され、事業目標や従業員の使い勝手といったビジネス要件を十分に検討しないクラウド移行は、後に課題が生じる可能性がある。クラウドサービスで業務プロセスをいかに支えたり強化したりできるかの理解が不足していた場合も同様だ。
明確な目標とクラウド技術への理解がない限り、企業はクラウドサービスの恩恵を十分に受けられない可能性があり、コスト増加につながるリスクがある。
データの機密性
金融機関や医療機関など厳しい規制が課される業界では、個人情報などの機密データを扱うために厳格なセキュリティ対策とコンプライアンス(法令順守)が求められる。
こうした業界の企業は、オンプレミスインフラとクラウドサービスを併用する「ハイブリッドクラウド」や複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」のアプローチを検討すべきだ。複数のインフラを検討することで、セキュリティとコンプライアンスの要件を満たしながら自社の要件を満たすAI(人工知能)技術やデータ分析、ストレージなどのサービスを選ぶことができる。
コスト管理計画
クラウドサービス利用時のコスト効率は企業にとって重要な課題だ。特に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、さまざまな企業が急速にクラウドサービスへ移行する「駆け込みクラウド」を決断した。こうした企業の一部は過剰な出費や特定ベンダーから別のベンダーへの移行が困難になる「ベンダーロックイン」に陥っている。
クラウドコスト管理ツールの重要性は日々増している。適切なコスト管理ツールを活用し、運用最適化の取り組みを継続することが不可欠だ。
自社のクラウド準備状況
残念ながら、一部の従業員は雇用への不安から、クラウド移行に抵抗することがある。クラウドサービスの導入は人員削減を懸念させる。
クラウド導入を円滑に進めるためには、クラウドサービスを積極的に活用する文化を醸成するための教育や研修が重要となる。全従業員に高度なクラウド認定資格を求める必要はないが、Amazon Web Services(AWS)の「AWS Certified Cloud Practitioner」やGoogle Cloudの「Cloud Digital Leader」といった初歩的なクラウド認定資格およびそのトレーニングは、関係者のクラウドサービスへの理解を深め、組織全体でのクラウドサービス導入効率を向上させる。
脱クラウド戦略
クラウドコストの高騰により、さまざまな企業が脱クラウドを検討するようになった。特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを背景に従業員がテレワークできるIT環境を整えた企業は深刻だ。
そうした企業は早急にクラウドサービスへ移行したため、クラウドサービスを中心としたIT環境に適した人材や予算を確保できていないケースがある。企業はクラウドサービス利用の見直しや監査によって、必要に応じてオンプレミスインフラへの回帰やクラウドサービスの変更を含む脱クラウド戦略を構築する必要がある。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
7
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
8
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
9
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
10
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー