欠席日数の改善にも役立つ
AI活用で業務を減らし生徒との信頼構築に注力 教育現場で進む“本気の施策”とは?
教員の業務量を減らし、生徒との関係を構築するためにAI技術を活用する取り組みが、英国で進んでいる。具体的にどのような取り組みがあるのか。
人工知能(AI)技術を活用し、教員の業務を減らしながら、教育の質を向上させる――英国の教育機関でそうした取り組みが進んでいる。文章や画像を自動生成するAI技術「生成AI」を活用する教員からは好影響を実感する声も上がっているという。どのような取り組みがあるのか。
英国の教育機関ではAIをどう使う?
DfEの教育大臣、ブリジェット・フィリプソン氏は2025年1月22日、教育技術(EdTech)に関するイベント「The Bett Show」で取り組みを説明した。
DfEの取り組みは、以下の計画に基づくものだ。
- 2028年までに、5歳児の75%が就学に必要な発達レベルに達するように支援する
- 公共サービスを「革新する」ためにAI技術を活用する
フィリプソン氏は、企業や個人が生成AIを日常的に活用している現状を踏まえ、公共部門も適切な活用を進めることが重要だと主張する。同氏は「生成AIを使用している教員の3分の2が好影響を実感している」とも指摘。具体的には以下の取り組みを進めている。
採点業務などの軽減
英政府は、教員の採点業務と生徒への振り返り作業を支援するAIツールを導入することを目標に、ソフトウェアベンダー16社に対して100万ポンドの資金を提供した。フィリプソン氏は「AI技術を活用して教員の業務量を減らし、教員の採用と離職防止につなげたい」と述べる。「教員という職業が燃え尽き症候群を経験するような辛いものではなく、喜びを感じられるものとなることを目指している」(同氏)
導入支援と評価体制の構築
教育機関が適切なEdTechに投資するための支援も進めている。
- EdTechの効果を評価するEdtech Evidence Board(EEB)の推進
- DfEと教員の育成団体Chartered College of Teaching(CCT)が連携し、教育機関が導入しているEdTechの効果を評価する。
- EdTechの活用術を紹介するPlan Technology for Your School
- 教育機関に対し、教育の質を向上させ、コストや業務量を軽減するための具体的なアドバイスを提供する。
多様な背景がある生徒の支援
特別な背景がある生徒にとって、EdTechの活用は不可欠だとフィリプソン氏は述べる。2025年には、教室内で使用するEdTechに関する教員研修が必須となる。「EdTechの効果的な活用は、生徒の成績向上だけでなく、生徒と信頼関係を築くのにも役立つ」という。
DeFが提供しているデータ分析ツール「View Your Education data」(VYED)を使えば、生徒の欠席データを基に、出席日数不足の対策を検討できる。フィリプソン氏によると、一部の生徒は「クラスの中で疎外感がある」ために登校しないという。生徒が「クラスに対する帰属意識」を持ち、出席率が向上することを同氏は期待する。
「AIに関心がない」教員の啓発が必要
教員がAIツールを効果的に使用するには、継続的な支援が必要だ。英国コンピュータ協会(BCS:British Computer Society)が2024年12月に公開した調査レポート「Secondary School Teachers And AI」によると、中学校の教員の19%は「現在もこれからもAIに関心がない」という。調査は2024年4月~6月、英国の中学校教師5000人を対象に実施した。
BCSの教育・公益部門のマネージングディレクターであるジュリア・アダムソン氏は次のように述べる。「業務の時間短縮や、生徒一人一人に合わせた学習の実現など、AIの可能性を教員は認識している。しかし生徒に不利益がないようにAIが公平に使用されるためには、より充実した教員向けの研修や指導が必要だ」
TechTarget.AIとは
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
TechTarget.AI
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
6
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
7
生データを隠してデータ連携 KDDIが4000万人の顧客情報を安全に分析できた理由
-
8
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
アラート疲れと手動対応を解消 EDR、SIEM、SOAR統合で注意すべきポイント4選
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー