いまさら聞けない「エグレス料金」とは どんな時に請求される?:エグレスを基礎から【第3回】
クラウドサービス利用時に、外部へデータを転送することをエグレス(Egress)といい、その通信量に応じて課金される料金がエグレス料金だ。エグレス料金を実際のサービスの例を交えて解説する。
「エグレス」(Egress)とは「退出」や「脱出」などの意味を持つが、ITの世界では閉域網、もしくはプライベートネットワークのデータを外部に転送する行為を指すことがある。特にクラウドコンピューティングでは、利用中のクラウドサービスから外部のインフラにデータを送信するときに掛かる料金を「エグレス料金」と表現する。エグレス料金について詳しく解説する。
エグレス料金とは
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エグレス料金を防ぐ
Amazon Web Services(AWS)の同名サービスやMicrosoftの「Microsoft Azure」などのパブリッククラウドは、外部にデータを転送する場合にエグレス料金を設定しているものがある。外部からデータが転送されてくる「イングレス」(Ingress)の場合、無料か、エグレス時より安価に設定されているケースが一般的だ。
エグレス料金は、1カ月で使用するネットワークの帯域幅に応じて計算される。通常はパブリッククラウドのクラウドストレージから転送するデータ量1GB当たり数セントのエグレス料金を設定している。クラウドサービスによっては、データ転送量に応じて段階的に価格が変動したりする。
例えば、2025年2月時点で、「Amazon Web Services」(AWS)の「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)では、北米のユーザーの場合、1カ月当たり、最初の10TBまで、外部へのデータ転送に対し1GB当たり0.09ドルを設定している。10TBを超えると、1GB当たりの単価がわずかに減少する 。2025年2月時点のMicrosoft Azureでは、月間100GBまでのエグレスは無料で、それを超えるとリージョンとデータ量に応じて1GB当たり0.05ドルから0.18ドルとなっている。
2024年1月、Googleは「Google Cloud」において、サービスの使用を中止して別のインフラに移行するためデータを転送する場合に請求していたエグレス料金を廃止する、と発表した。その後、AWSとMicrosoftも同様の発表をしている。
クラウドサービスベンダーがエグレス料金を廃止した理由は2つある。1つは競争を有利に進めるためであり、もう1つはEU(欧州連合)の「Data Act 」(欧州データ法)などの使用しなくなった機密データの削除と消去を求める規制に従うためだ。
次回はエグレス料金管理のベストプラクティスを紹介する。
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