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いまさら聞けない「ソフトウェアエンジニア」とは? 職種の違いや年収は?ソフトウェアエンジニアの実態を探る【前編】

ソフトウェアエンジニアは、採用市場で最も需要の高い職業の一つだ。その魅力からキャリアパス、収入面まで、ソフトウェアエンジニアの実態を解説する。

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 ソフトウェアエンジニアは、採用市場での需要が高い人気職種の一つだ。一口にエンジニアと言っても、その仕事内容や働き方はさまざまだ。どのようなキャリアパスがあり、どのようなルートでその道に進めるのか。年収はどの程度見込めるのか。ソフトウェアエンジニアの実態を探る。

多様化するソフトウェアエンジニアの役割 期待できる“年収”は?

 ソフトウェア業界には多様なキャリアが存在する。「プログラマー」「ソフトウェアエンジニア」「ソフトウェア開発者」など名称も多岐にわたり、それによって職務や責任の範囲は異なる傾向にある。

 例えば、プログラマーはソースコードを書くことに特化しているのに対し、開発者はアプリケーションやシステムの設計および開発など、より広範な業務を担うことが多い。ソフトウェアエンジニアは、ソフトウェア全体の設計から保守までを包括的に担う職種であり、ライフサイクル全体に責任を持つ傾向がある。

 他にも、フロントエンド開発者、バックエンドエンジニア、フルスタック開発者、モバイルエンジニアなど、専門領域に応じたより具体的な職種も存在する。

 ソフトウェアエンジニアのチームは、国籍や文化の垣根を超えた多様性に富んでいる。特にロンドンのようなIT業界が成熟した都市では、世界中から人材が集まり、多国籍チームが構成されているのが一般的だ。この業界は歴史的には男性中心の分野だったが、近年は女性エンジニアの志望者が年々増加しており、これはとても前向きな傾向と言える。

 ソフトウェアエンジニアリングの魅力は、自分の意思でキャリアの方向性を自由に選べる点にある。コーディングが好きなら開発者として技術を磨く道がある。セキュリティやデータ分析など、隣接領域にスキルを広げることも可能だ。

 昇進を目指してチームリーダーやマネジャーとしての責任を担い、エンジニアリング部門の責任者を目指すキャリアもある。将来的には、CDO(最高デジタル責任者)、CTO(最高技術責任者)、CIO(最高情報責任者)といったIT分野の最高責任者に就任することも十分に視野に入る。いったんキャリアをスタートさせれば、その先の道は自分の選択と努力次第で可能性は無限大だ。

雇用形態と収入の見込み

 ソフトウェアエンジニアは、給与水準の高さから人気の高い職種となっている。ただし、報酬額は経験年数、専門分野、勤務地などによって大きく異なる。

 一般的に、未経験者の初任給は年収3万〜3万5000ポンド(600万〜700万円)程度。中堅〜シニアクラスになると、6万〜9万ポンド(1200万〜1800万円)程度が見込まれる。特にロンドンのような大都市や、大手企業、金融・ゲーム業界などでは、それを上回る高収入の案件も珍しくない。

 意外に思えるかもしれないが、フリーランスとして働く方が、正社員より高収入になるケースも多い。多くの業界では契約社員から正社員を目指す流れが一般的だが、ソフトウェア業界ではその逆で、まず正社員として5〜10年程度経験を積み、その後フリーランスに転向する人が多い。そうすることで、自分の関心に合ったプロジェクトに参画しながら、高単価の報酬を得ることができる。

 例えばJavaエンジニアの場合、日給625ポンド(12〜13万円)を超える案件は珍しくない。ロンドンでは日給750〜800ポンド(15〜16万円)の案件もあり、一部では日給1000ポンド(20万円)というケースも存在する。

ソフトウェアエンジニアの目指し方

 ソフトウェアエンジニアになるための一般的なルートは、コンピュータサイエンス、電子工学、情報技術などの学位を取得することだ。これらの分野では、在学中にプログラミングやソフトウェア設計を体系的に学ぶことができる。数学や物理学の学位を取得する人も多く、分析的思考力が求められるこの分野には適していると言える。

 しかし近年では、こうした「学位ありき」のルート以外にも選択肢が広がっている。IT業界全体で、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍するようになってきた。調査会社Harvey Nashが発表したレポート「2024 Global Tech Talent & Salary Report」によると、テクノロジー分野で働く人材のうち、学位を持っているのは全体の半数に過ぎず、残りはインターンシップや業界研修、トレーニングプログラムなどさまざまなルートからキャリアをスタートしていたという。

 中でも近年注目されているのがブートキャンプだ。これは、8〜16週間の短期集中型プログラムで、ソフトウェアエンジニアとして就業するために必要なスキルを短期間で習得できる。ただし、受講料は数十万程度かかるため、受講後に就職支援が付帯するプログラムを選ぶことが望ましい。

 「Udemy」のようなオンライン学習サイトを活用して、独学でスキルを習得する人もいる。ただしこのルートは、最初の就職までのハードルが高く、学習だけでなくポートフォリオの作成やコミュニティーへの参加など、自発的な工夫が必要になる。

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