草の根で広がるプログラミング教育
若者はプログラミングを学ぶべき――だが「学校で教わっていない」が7割超え
デジタルスキルの需要が高まっているにもかかわらず、学校でのプログラミング教育が十分に広がっているとは言い難い。こうした状況を受けて慈善団体Raspberry Pi Foundationが取り組む教育プログラムを紹介する。
日本を含む各国で、デジタル人材の育成が喫緊の課題となっている。鍵となるのが児童へのプログラミング教育だ。しかし、シングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」を開発した慈善団体Raspberry Pi Foundationが英国で実施した調査によると、保護者の約60%が子供へのプログラミング教育が必要と考えているにもかかわらず、70%以上が、学校でプログラミング教育が実施されていないと回答したことが明らかになった。
子供たちへのプログラミング教育が必要な理由とは? 課題と解決方法
「人工知能(AI)技術の急速な進歩により、全ての若者にとって、プログラミングのスキル、知識、そして自信を身に付けることがこれまで以上に重要になっている」と、Raspberry Pi FoundationのCEOを務めるフィリップ・コリガン氏は語る。
調査では、保護者の半数以上が、義務教育後の卒業認定試験「GCSE」(General Certificate of Secondary Education)が実施される16歳くらいまで、プログラミングを必修科目とすべきと考えていることが明らかになった。
さらに、約60%が、プログラミングを学べば将来良い職業に就ける可能性が高まると回答し、50%以上が、親が教えることが難しいので学校が教えるべきと答えた。
Raspberry Pi Foundationの取り組み
とはいえ現実には、プログラミング教育の内容と質は、使用できるリソースや教師の習熟度など、さまざまな要因に応じて異なりがちだ。
2014年、英国政府はコンピュータ関連のカリキュラムを改革した。従来の情報通信技術(ICT)カリキュラムを段階的に廃止し、コンピュータの仕組みの理解、デジタルリテラシーと情報技術の習得に重点を置くようになった。しかし、テクノロジーの進化は非常に速く、教育現場がその変化に追い付くのは容易ではない。授業で教師がテクノロジーの使い方に苦労しているとの課題も指摘されていた。
このギャップを解消するため、Raspberry Pi Foundationは、同団体が主催するプログラミング教室プログラム「Code Club」を導入するよう、学校や図書館、地域のコミュニティーに呼び掛ける。英国にはすでに2000以上のCode Clubが活動しており、発足以来何百万人もの子供たちへのプログラミング学習を支えてきた。
Code Clubは、Raspberry Pi Foundationが提供する学習リソースを使用し、ボランティアによって運営される。「Code Clubの数を増やしたい。あらゆる地域にCode Clubがあるべきだと考えている。Raspberry Pi Foundationが設立と運営を支援し、利用者の費用負担は一切ない」とコリガン氏は語る。
Raspberry Pi Foundationは2035年までに、世界中で1000万人の子供たちにプログラミングを教えるという目標を発表した。「Code Clubへの参加は、子供たちにとって、安全で楽しい環境でデジタル技術を実際に体験し、創造力を発揮できる素晴らしい機会だ。自信を身に付けたり、精神力、問題解決力、コミュニケーション力といった幅広いライフスキルを育んだりできる」。コリガン氏はそう語る。
経験談
ストークオントレントの教育機関The King's Church of England Academyでコンピュータサイエンスを教えるジャニーン・カーク氏は、Code Clubについて次のように語る。「プログラミングは男の子だけのものだとか、数学が得意な生徒だけがやるものだという誤解があるが、10年以上Code Clubを運営してきた経験から、誰にでもできると断言できる」
「子供たちがプログラミングで創造性を発揮し、豊かなアイデアをアプリケーション、ゲーム、アニメーション、音楽、アートへと昇華させているのを目の当たりにしている。共に学ぶことで、新しい友達を作り、問題解決力とチームワークを育んでいる。成功を受けて、系列の他の6つの教育機関にもCode Clubを導入することにした」(カーク氏)
翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(リーフレイン)
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