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任天堂も影響か AWS大規模障害に青ざめたクラウドユーザーが得た教訓偶発的な障害に対抗するには?

2025年10月20日、Amazon Web Servicesで障害が発生した。原因はDynamoDB APIに関連するDNS解決エラーで、同日中に大半の障害は解消された。この障害は、クラウドサービスユーザーが無視できないある問題を浮き彫りにした。

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 2025年10月20日午前0時頃(米太平洋夏時間、日本時間では同日16時頃)から、Amazon Web Services(AWS)の米国東部(バージニア北部)リージョン(US-East-1)内において、複数のクラウドサービスで障害が発生した。ある専門家は、「今回の障害を通じて、あるリスクが改めて浮き彫りになった」と指摘する。

クラウドユーザーが得た教訓は?

 同社は当初、「深刻なエラーレートの上昇や遅延が複数のサービスで発生している」と説明。技術者チームが即時対応にあたり、原因の特定と復旧作業を進めていることを明らかにした。2025年10月20日午前2時頃(日本時間では同日18時頃)には「グローバルサービスやUS-East-1リージョンに依存する機能にも影響が及んでいる」と発表した。

 AWSはその後の更新で、同社のデータベースサービスである「Amazon DynamoDBのAPIエンドポイントに関連するDNS解決の問題が根本原因である可能性が高い」と説明。AWSは、DNS障害の修正と復旧を進め、2025年10月20日午後3時53分(日本時間10月21日午前7時53分)、障害が解消したと発表した。

 本件に関連して、日本では任天堂がネットワーク障害の発生を報告。AWSの大規模障害の影響とみられる。英国では、Lloyds BankやHalifax、Royal Bank of Scotlandといった金融機関のオンラインサービスをはじめ、「Snapchat」「Signal」「Fortnite」「Roblox」などにも影響が波及した。Amazon.comでも一時的にアクセス障害が発生した。

 業界関係者の中には、今回の事態を、世界の企業やユーザーがAWSのサービスに過度に依存していることを示していると見る声もある。英国や欧州を中心に活動するクラウドサービス市場の公正な競争を推進する業界団体「Open Cloud Coalition」のニッキー・スチュワート氏(上級顧問)は、「2つの主要クラウドプロバイダーに過度に依存することで生じるリスクを痛感させる出来事だ」と指摘する。同氏によると、2024年に発生したCrowdStrikeの障害では、英国経済に17〜23億ポンドの損失が発生した。

 「AWSの障害は、競争力を持ち、相互運用可能なクラウドサービスベンダーの多様化が必要であることを明確に示している。1つのベンダーに依存して、さまざまなシステムの大部分を停止させるような状況は避けるべきだ」

 デジタルトランスフォーメーション企業Public DigitalのCTO、ダイ・ボーン氏は、「偶発的な技術障害もサイバー攻撃と同等のリスクとなり得る」とし、企業に対して「IT、データ、コミュニケーション分野の専門家を含む危機対応チームを常設し、復元力を高めるべきだ」と強調した。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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