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ライオンが脱レガシーシステムのパートナーに「Google Cloud」を採用した理由予算を浪費する「守りのIT」から脱出

インフラ維持に追われる「守りのIT」から、データ活用で事業成長をリードする「攻めのIT」への変革を目指すために、「Google Cloud」を採用してシステム刷新を進めるライオン。採用の決め手になったものとは。

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 消費財メーカーのライオンが、全社でデータを横断的に分析、活用するためのシステム刷新に踏み切った背景には、強い危機感があった。消費者の購買行動の場が店舗からオンラインに移るなど市場のデジタル化が加速し、顧客のニーズが多様化する中で、データに基づいた迅速な意思決定の重要性が高まっていた。

 だがライオンの従来システムは、老朽化が進んだ自社インフラの維持にIT予算の大半を費やさざるを得ない、いわゆる「守りのIT」の状態に陥っていた。その上、業務ごとに構築されたシステムがデータの孤立状態(サイロ化)を招き、全社横断でのデータ活用を阻害しており、システムがビジネスチャンスの創出を妨げる要因になっていた。

 この状況を打破し、経営改革をけん引する「攻めのIT」を実現するため、ライオンは事業の変化に素早く順応でき、将来のデータ量増加にも耐え得る、クラウドネイティブなシステム構成への全面刷新を決断した。そこで同社が選択したクラウドサービスが「Google Cloud」だ。その決定打は、単なる機能の優位性だけではなかった。

なぜGoogle Cloudだったのか

 ライオンがパートナー選定で重視した点の一つが、既存のERP(統合基幹業務システム)「SAP S/4HANA」との連携だった。この点で同社に技術的な安心感をもたらしたのが、事前定義されたテンプレートを用いて基幹システムのデータを分析できるサービス「Google Cloud Cortex Framework」だ。同社はSAP S/4HANAに複数のカスタマイズを加えていたため、最終的にGoogle Cloud Cortex Frameworkの採用は見送ったものの、「Google CloudがSAP S/4HANAを中心としたシステム全体の円滑な連携を重視していることが理解できた」との評価につながった。

 新たなデータ分析の中核としては、自社でのサーバ管理を必要とせず、膨大なデータを素早く分析できる「BigQuery」を採用した。運用負荷の軽減や費用対効果の創出に加え、将来のデータ増にも対処できる拡張性が決め手になった。BigQueryの存在が、ライオンのシステムを「守り」から「攻め」に変える後押しになったのだ。

 今回のプロジェクトは、単なる技術導入ではなく、組織変革への挑戦でもあった。その鍵になったのが、クラウドサービス活用を全社で推進する専門組織「CCoE」(Cloud Center of Excellence)の設立だ。パートナーと協業しながら、クラウドサービスの活用ノウハウを社内に蓄積する「内製化」を推し進めている。

 組織体制と技術的な準備を整えたライオンが次に見据えるのは、AI(人工知能)技術の本格活用だ。すでにAI技術を用いた需要予測を構想しており、将来的には対話形式でデータを分析できる生成AIの活用も視野に入れている。今回構築したシステムを「ライオンのDXを推進するエンジン」と位置付け、さらなるデータ戦略を推進していく。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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