1on1で「触れてはいけないトピック」「部下の満足度を高めるトピック」とは:“1on1疲れ”を避ける
明治大学は、「1on1」面談を通じて従業員の満足度を高めるための“秘訣”を公開した。1on1で積極的に取り上げる話題と、避けたほうがいい話題とは何か。明治大学の研究結果を紹介する。
ここ数年の間、テレワークの普及とともに広がってきた上司と部下の「1on1」面談。せっかくのコミュニケーション機会である1on1を効果的に実施し、従業員の満足度向上につなげるにはどうすればいいのか。
明治大学は2025年11月10日、同大学商学部准教授の加藤拓巳氏と伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、AI(人工知能)ベンダーhootfolioの1on1に関する共同研究成果が人事専門家向け学術誌『Strategic HR Review』(Emerald Publishingが発行)に掲載されたと発表した。共同研究では、CTCにおける1on1の満足度の要因分析によって、1on1の「効果的なトピック」と「NGトピック」を洗い出した。
これで分かる、1on1の効果的な進め方
明治大学によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を機にテレワークが普及し、従業員のメンタルヘルスの悪化やモチベーション低下への対策として1on1が浸透してきた。しかし、1on1を効果的に推進するための知見は不足しており、企業は「1on1疲れ」が顕在化している問題に直面しているという。
共同研究では、明治大学とCTC、hootfolioは、CTCの事業部門「エンタープライズ事業グループ」の従業員を対象に1on1の実態調査を実施し、満足度の要因を評価した。その結果、上司が部下の話しに熱心に耳を傾け、共感を示すとともに相談内容に対する行動を起こすことが重要だということが分かった。
さらに、1on1で取り上げるトピックとしては、「仕事内容」「キャリア開発」「雑談」が効果的なことを実証できたという。一方で負の効果をもたらすトピックとして浮上したのは「プライベート」だ。「プライベートのトピックは上司から話し出すべきではない」と明治大学は述べる。同大学によると、「組織方針」「働き方」「人間関係」についても有意な効果が見られなかった。
明治大学とCTC、hootfolioは実態調査で得た知見に基づき、管理職向けに1on1のスクリプト(台本)を設計。その効果を検証するために、CTCの管理職に無作為にスクリプトを提供し、ABテストを実施した。その結果、スクリプトを利用しなかった管理職の1on1を受けた従業員と比べ、スクリプトを利用した管理職の1on1を受けた従業員は満足度が向上したと同大学は説明している。
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