若手エンジニアの7割は「AIなしに戻れない」 ベテランとの“依存度”の差:エンジニアのAI活用実態調査
ITエンジニアが生成AIをどう活用しているのかが、paizaの調査から明らかになった。実務経験5年未満の若手の7割以上が「AIなしの開発に戻れない」と回答するなど、“AIへの依存”が進んでいる一面も見えてきた。
急速に進化を遂げるAI(人工知能)技術が、ITエンジニアの業務に具体的な影響を与え始めている。ITエンジニア向けサービスを運営するpaizaは2025年7月、同社サービスに登録するITエンジニア629人を対象として、生成AIの導入による生産性への影響に関する調査を実施した。
今回の調査では、生成AIの活用がコーディング時間や開発フェーズにどのような影響を与えているか、エンジニアの活用実態が明らかになった。特に、実務経験の年数によって、生成AIへの向き合い方や「依存度」とも言える感覚に明確な差が見られる結果となっている。
経験5年未満と5年以上で異なる「AI依存度」
「生成AIを使わない開発には戻れないと思うか」という設問に対し、実務経験5年未満のエンジニアでは「非常にそう思う」「そう思う」と回答した割合が合計71.6%に達した。これに対し、実務経験5年以上のエンジニアで同様の回答をした割合は59.4%にとどまり、経験が浅い層ほど生成AIが提供する即時的なアウトプットに依存する傾向が見られた。
生成AIの導入によって「コーディング時間が減った」ことを実感していると回答した人は、全体の50.7%だった。実感値を基にした削減時間は、平均で週当たり約8時間、人月換算で約0.2人月に上るという。一方で43.8%のエンジニアは「時間に変化がない」とも回答しており、生成AIを業務に導入し、使いこなすまでには一定の学習が必要などの課題があることも浮き彫りになった。
開発プロセスにおいて、エンジニアが生成AIを最も活用しているのは「実装フェーズ」(59.7%)だった。生成AIによるソースコードの自動生成や提案機能が、エンジニアのアシスタントとして生産性向上に貢献している実態がうかがえる。
ソースコードを読む時間の変化についての回答の割合は、「増えた」が38.5%、「減った」が31.2%、「変わらない」が30.3%と、ほぼ3分割される結果となった。これは、生成AIが作成したソースコードの正確性を確認するために、かえって読む時間が増加したエンジニアがいる一方で、AIツールの要約機能などを活用して時間を短縮したエンジニアも存在することを示している。
paizaのCEO片山良平氏は今回の調査結果について、「生成AIに『依存』するのではなく、エンジニア自身の確かなスキルが不可欠だ」と指摘。生成AIの出力を適切に評価し、より高度な開発に生かす能力の重要性を強調する。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。