IT運用の動向から探る
2026年の情シスなら持っていたい7つのITスキル
システム運用やアプリケーション開発の分野では絶えず技術進化が続いている。2025年にIT専門家に求められ、今後も必要となるであろう7つのITスキルをおさらいする。
絶えず進化するIT運用の分野で業界動向や求められるスキルを先取りすることは、キャリア形成や雇用の安定にとって重要だ。IT運用の自動化やデータエンジニアリング、サステナビリティ、ローコード開発などのスキルは、IT運用の将来像を形作り、組織の成功に貢献する。本稿はIT運用に携わる専門家が現在のIT分野の課題を理解し、より高い雇用の安定性とキャリアの成長を実現するための指針となるように、2025年に需要が高まったITスキルを評価する。
1.DevOpsとIT運用の自動化
DevOps(開発と運用の融合)やIT運用の自動化、オーケストレーションは、現在のIT運用担当者にとって不可欠なスキルだ。これらの能力は、IT運用の効率化と、開発チームと運用チームの連携の強化という面で重要な役割を果たす。
調査会社The Business Research Companyのレポート「DevOps Global Market Report 2025」は、DevOps市場が大きな成長が見込まれることを指摘している。2024年の125億4000万ドルから2025年には149億5000万ドルへ拡大し、成長率は19.2%に達すると予測されている。同社は、この上昇傾向が今後も続き、2029年には373億3000万ドルに達すると予測している。
IT運用の専門家にとって、DevOpsの実践や、ソフトウェア開発のプロセス全体を自動化し、高速化するCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)ツールに関する専門知識は、ますます重要になっている。インフラをコードとして管理する「Infrastructure as Code」(IaC)への理解に加え、仮想化やコンテナ化技術に精通していることが求められる。開発支援ツールの「GitLab」やCI/CDツールの「Jenkins」、コンテナ開発ツールの「Docker」「Kubernetes」、IT自動化ツールの「Ansible」といったOSS(オープンソースソフトウェア)のスキルは、CI/CDプロセスを支えて、運用効率を確保するために重要だ。
2.データ分析、データエンジニアリング、ビッグデータ
ビジネスの現場では、データに基づく意思決定がますます重視されている。経営層はIT運用チームに対して、自社の商材の販売状況や製品の機能に関する実用的な洞察を提供することを期待している。
こうした洞察は、「Apache Hadoop」や「Spark」といった分散処理フレームワークによって整理された、大規模なSQLまたはNoSQLデータベースから得られる。IT運用の専門家は、これらのデータベースやフレームワークを幅広く扱う準備が必要だ。さらにTableauの「Tableau」やMicrosoftの「Microsoft Power BI」、OSSの「Plotly」などのデータ可視化ツールは、複雑なデータセットを理解しやすいレポートに変換するために不可欠だ。
ただしビッグデータの可視化や提示は、プロセスの一部にすぎない。データを収集して、さまざまなツールで分析可能な形に変換することも同様に重要だ。データエンジニアは、データの収集や保存、変換に必要なインフラを設計し、運用するための役割を担う。組織が生成するデータ量が増え、リアルタイムな洞察への需要が高まるにつれ、データエンジニアリングはIT運用に不可欠な役割となっている。これらの職種では、「Python」やSQLのスキルが引き続き重要だ。IT教育プログラムを手掛けるRefonte Learningの調査レポート「What Are the Most In-Demand Skills for Data Engineers in 2025?」は、データエンジニアリング市場が2025年以降、年平均成長率16.7%で拡大を続けると予測している。
3.IT運用へのAI技術の活用
生成AI(人工知能)や機械学習のスキルはますます求められている。さまざまな業界が、これらの技術の価値を最大限に引き出す方法を模索している。特に、以下のような分野での専門的な活用が進んでいる。
- IT運用をAI技術で効率化する自動化ツール
- 顧客や社内従業員、ITスタッフなど、ITサービスの利用者に対して自然言語によるサポートを提供するチャットbot
4.ネットワークとエッジコンピューティング
5GやSD-WANといった技術により、企業はより高いデータ転送速度とセキュリティを実現できるようになった。一方で通信中のデータを保護することはネットワークセキュリティの要であり、その重要性が今後薄れることはない。
オンプレミスインフラまたはエッジコンピューティングでのデータ処理は、リアルタイムのデータ処理や現場のコンピューティング利用の可能性を広げている。このような変化の大きい技術を取り入れるためには、最新のネットワークシステムを設計、運用するための専門知識が、IT運用の専門家にとって不可欠となる。
5.フルスタックおよびソフトウェア開発
フルスタックWeb開発は2025年に大きな成長が見込まれている。米国労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)は「Occupational Outlook Handbook」(職業展望ハンドブック)で、今後10年間で米国のWeb開発者とデジタルデザイナーの雇用が7%増加すると予測している。
しかしIT運用の専門家が担うのは、従来型の開発者としての役割だけではない。データ管理やシステムバックアップ、管理業務の自動化を実現するときに、基本的なプログラミングスキルは今も価値が高い。高度な技術に目を奪われがちだが、日々のIT運用には、シンプルなスクリプトが依然として重要な役割を果たしている。
PythonやJavaScriptライブラリの「React」といったプログラミング言語やフレームワークに習熟することで、IT運用チームは事業部門の戦略的な取り組みを支援する社内アプリケーションを開発できるようになる。プログラミングの概念や言語は、IaCにとっても不可欠だ。IaCには一般的に、「YAML」や「XML」「JSON」「HashiCorp Configuration Language」(HCL)といった記述形式が用いられる。これらはAnsibleやHashiCorpのOSS「Terraform」などのIT自動化ツールを扱ううえで欠かせない。
6.ローコード/ノーコードアプリケーション開発
ローコード/ノーコード開発ツールは、アプリケーションや設定の構築方法を大きく変え、最小限の技術知識で迅速な開発を可能にした。これらの開発ツールは、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を使いドラッグ&ドロップでアプリケーションを開発できるため、高度なコーディングスキルを持たないIT管理者でも利用しやすい。
生成AIは、コードの作成支援やリンティング(ソースコードの検証)、アプリケーションのテストなどの工程に組み込まれることで、これらのツールをさらに強化している。その結果、自動化ワークフローや社内ツール、ダッシュボードを構築するために必要な技術的知識は大幅に低減された。
ノーコード開発の市場は急速に拡大している。The Business Research Companyのレポート「No-Code Development Platforms Global Market Report 2025」で、ノーコード開発ソフトウェア市場は2024年の281億1000万ドルから2025年には356億1000万ドルへ成長し、さらに2029年には865億5000万ドルに達すると予測されている。
7.サステナビリティとIT運用
市場と規制機関による圧力や技術の発展、組織からの要請を背景に、ITチームにもESG(環境・社会・ガバナンス)への説明責任が求められている。サステナビリティはIT運用チームにとっても重要なテーマになりつつある。
主な注力分野は以下の通りだ。
- 省電力ハードウェア
- データセンターにおける消費電力削減のためには、省エネルギー性能に優れたハードウェアの選定や調達、利用が必要だ。
- 電子廃棄物(e-waste)の削減
- ハードウェアのライフサイクル全体を効率化し、責任ある廃棄を実施することで、電子廃棄物の削減につながる。
- 技術的最適化
- エネルギーやリソースを削減するための技術を理解することで、ITインフラを持続可能な形で運用できる。
IT運用の専門家は、これらのトレンドを踏まえ、自身の現在のスキルやキャリアにおける目標を見つめ直すとよい。自身が改善すべきスキルを見極め、関心のある領域を探り、スキルの習得を継続することで、変化が激しいこの分野で、確かなキャリアパスを築くことができる。
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