止められない「Oracle DB」を安全にクラウド移行 日立が支援サービスを強化:費用30%減、期間2カ月短縮を実現
オンプレミスOracle DBのクラウド移行は、セキュリティや料金の懸念が壁となる。日立は2026年3月、基幹データの安全なAI活用を実現しつつ、移行の費用削減と期間短縮を掲げる支援サービスの強化を発表した。
経営層からはクラウド移行やAI(人工知能)技術の活用を急かされるが、現場の基幹データベースを簡単に動かすことも難しい――。これはIT部門が今直面しているジレンマだ。特に長らくオンプレミスシステムで稼働させてきた「Oracle Database」においては、ミッションクリティカルな処理能力の維持、厳格なセキュリティ要件への適合、ライセンス費用の抑制といった複雑な要求が絡み合い、大きな障壁として立ちふさがっている。
「止められないOracle Databaseを、いかにして安全かつ予算内でクラウドインフラに移行するか」というIT部門の切実な悩みに応えるべく、日立製作所は2026年3月25日、「クラウド移行支援サービス for Oracle Database」の強化を発表した。本サービスは、移行前後のシステム利用費用を30%削減し、事前の検討と移行期間を合わせて2カ月短縮するという数値効果を掲げている。どのようなアプローチで移行のリスクを下げ、費用削減とAIネイティブなシステム構築を両立させるのか。
独自の設計テンプレートで移行のリスクと期間を圧縮
クラウド移行支援サービス for Oracle Databaseは、事前のクラウド移行アセスメントからインフラ設計、構築、データ移行、運用改善までを一貫して支援する。今回の強化では、新たに「Amazon Web Services」(AWS)のデータセンター内でOracle Databaseを利用できる「Oracle Database@AWS」が利用可能になった。構築実績とパートナー企業との検証に基づくベストプラクティスを適用することで、移行前後のシステム利用費を30%削減し、事前の検討と移行期間を合わせて2カ月短縮できるという。
データベースのデータ移行は複雑かつリスクを伴う作業であり、データの整合性やダウンタイムの最小化を実現するエンジニアリング力が不可欠だ。日立製作所は、日本オラクル、AWS社、日本マイクロソフトとの強固なパートナーシップの下、ミッションクリティカル要件を想定した基幹業務向けマルチクラウド構成の共同検証を重ねてきた。
その検証から得られたベストプラクティスを反映したのが、本サービスで提供される設計書テンプレートだ。このテンプレートを活用することで、要件定義からシステム構成、移行方式の検討まで、設計項目の網羅性を確保しつつ作業効率を高めることができる。結果として、先行検討と移行期間を2カ月短縮できる効果が確認されている。
ミッションクリティカルな業務システムのデータベースを含めたクラウド移行を日立製作所と共に推進しているジェーシービーの中田一朗氏(上級執行役員 システム本部長)は、次のように述べる。「重要データベースの移行を迅速かつ安全に進められる点に加え、移行後の運用最適化、セキュリティ対策まで、一貫した支援を受けられる点に大きな期待を寄せている」
FinOpsの実践とレジリエンス向上の両立
データベースのクラウド移行後、企業が直面しがちなのがクラウドリソースの管理と運用費用の増大だ。クラウド移行支援サービス for Oracle Databaseは、拡張性に優れたクラウドリソースを活用し、基幹業務の厳しいレスポンスタイム要件を満たしながら、従量課金の増加を抑制する運用設計を提供する。
具体的には、日立製作所のエンジニアが顧客の運用チームに伴走し、性能要件やリソース利用状況を継続的に分析する。不要なリソース削減を自動化するなど、継続的なコスト最適化(FinOps)を実践することで、移行前後のシステム利用コスト30%削減を実現するという。
システムの安定稼働を支えるレジリエンス(回復力)の向上にも注力している。セキュリティパッチ(更新プログラム)適用時の影響予測や、ランサムウェア対策を想定したバックアップ運用の自動化を組み込むことで、障害時の迅速な復旧と業務継続を可能にする。
基幹データベースとAI分析システムの分離による安全なデータ活用
金融業界における不正取引の検出と対処、製造業における需要予測に基づく在庫適正化の判断など、蓄積された基幹データをAI技術でリアルタイムに活用することは、企業の競争力強化に直結する。しかし、基幹システムで直接AIモデルを動かして分析すると、ミッションクリティカルな処理性能やセキュリティに影響を及ぼす懸念がある。
この課題に対し、クラウド移行支援サービス for Oracle Databaseは基幹システム向けデータベースとAI活用向けデータベースを分離した構成を採用した。両者のデータをリアルタイムで常時同期させることにより、基幹データベースの処理性能を一切損なうことなく、最新データを用いた低コストなAI分析環境を提供する。
さらに、日立製作所が培ってきた業種・業界ごとの知見を生かしたデータマネジメントにより、AIが基幹データを正しく解釈できるようデータ品質を維持する。これにより、精度の高い分析結果を実際の業務プロセスに組み込むことが可能になる。
日立製作所は今後、本サービスを、AI技術で社会インフラの運用最適化や課題解決を図るサービス群「HMAX by Hitachi」の展開を支えるインフラ整備にも活用し、企業の持続的な成長を支えるモダナイゼーションを後押しする構えだ。
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