企業の成長を支える「1人目情シス」の実像
入社後の「こんなはずでは」を避ける 1人目情シスに求められる“身のこなし方”
テレワークの普及やDX、AI活用の拡大で企業のIT環境が複雑化する中、「1人目情シス」の重要性が高まっている。上場準備や組織拡大を背景に採用が進む一方、採用前後の期待とギャップには注意が必要だ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を契機としたテレワークの整備やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、人工知能(AI)の活用と、企業が扱うIT環境は急速に複雑化しています。
こうした変化によって、これまで開発部門やコーポレート部門の一部担当者が兼務で回していたIT管理が、限界を迎える企業も増えています。そこで必要になるのが、「1人目情シス」という存在です。
しかし、このポジションは単に“最初のIT担当者”ではなく、企業特有の難しさを抱えやすい存在でもあります。
1人目情シスに求められることとは
まずは、1人目情シスが求められるタイミングを整理します。立場柄、長年さまざまな情シス組織を見てきましたが、以下の3つが主なパターンと言えます。
- 上場を見据え、社内のIT環境を整える必要が出てきたとき
- 自社で扱っている商材が、高いセキュリティレベルを求められるもので、社内セキュリティのレベルが低いと、商材の購入を検討してもらえないことが分かったとき
- 事業の成長に伴い、社員数が増えてきたとき
- おおむね100人まで増加したタイミング
“成長企業の1人目情シス”が直面する課題
このようなタイミングでの1人目情シスの採用は、企業が成長して投資できるようになった証拠でもあります。ただし、情シスに与えられる資金や体制が潤沢とは限らない点に注意が必要です。
そのため、以下のような動機で入社した場合、経営層が求める情シス像と個人の期待との間でズレが発生する恐れがあります。
- 新しいSaaSを自由に試せるといった環境がほしい
- 自分好みの社内IT環境を実現したいから転職をする
1人目情シスとして活躍するには
1人目情シスは、チームの一員として得意領域を担当する立場ではなく、社内にあるIT課題の多くを、最初に1人で引き受ける立場となります。
そのため、以下のような姿勢が必要となります。
- 苦手なことがあっても必要に応じて対応する
- 他部署と積極的に連携し、社内で信頼を得る
- 事業フェーズが変わっていく中で、情シス組織の設計を進める
その反面、魅力も多々あります。例えば
- ゼネラリストとして情シス業務に幅広く関わりたい
- 現場や経営層と近い距離で仕事したい
- 身近な人とコミュニケーションを取って仕事をしたい
- ゆくゆくマネジメントの経験も積んでいきたい
- 上場準備や急成長など、貴重な事業フェーズを経験したい
とお考えの方にとっては、理想的な環境といえます。
入社前に確認すべきポイントは?
ベンチャー企業での1人目情シスを考えている場合
ベンチャー企業を取り巻く環境を見ていると、変化が目まぐるしく、事業が思ったように成長しない場合もあります。
そのような企業が1人目情シスの採用を検討しているタイミングでは、ゼロから1を作っていく思考や、朝と夜で求められることが変わっていた――といった場面に対応できるマインドが大切になります。そのような企業の入社を検討している場合、自分が得たい経験を積むことができるかだけでなく、その企業が数年後にどのような姿になっているのかといったことも見ておくことが大事になります。
ある程度成熟している企業での1人目情シスを考えている場合
ある程度成熟している企業では、ベンチャー企業ほど大きな変化は起きにくいと考えています。そのような企業では、情シスとして新たに何かを立ち上げるというよりは、現状の問題を改善していく、もしくはより良い状態に変えていくという姿勢が求められます。
どのような規模や成長過程の企業であっても、「どのような経験を積みたいのか」「どういった場所に身を置きたいのか」を分析して、次のキャリアを選んでいくことがより必要な時代になってきたといえます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
4
“脱Excel”を待ち受ける乱立問題 カカクコムが新ツール導入を見送った理由
-
5
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
6
VMware離れがやっぱり加速 2500台のVM移行に挑む製造大手から学ぶ現実解
-
7
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
8
「ひとり情シス」が急に退職 専門商社が外部パートナーと挑んだネットワーク刷新の裏側
-
9
DX導入企業の3割超がむしろ「負担増」 9割が陥る“内製化のわな”
-
10
Microsoft 365の知られざる5つの裏口 パスワードを変えても攻撃者は消えない
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー