2017年12月01日 08時00分 公開
特集/連載

Computer Weekly製品導入ガイドCRM成功の鍵を握るデータソースのコーディネート

次世代顧客関係管理のためには、データ第1の戦略が求められる。

[Clive Longbottom,Computer Weekly]
Computer Weekly

 1993年、トム・シーベル氏がSiebel Systemsを創業した。同社の主力製品はSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)アプリケーションとしてスタートした。だが収集されるデータの内容にSiebelが着目した結果、顧客に関する洞察情報の収集に利用できることが明らかになった。こうして顧客関係管理(CRM)が誕生した。

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 Siebelは最大のCRM提唱企業だった。だが問題があった。CRMは、チャネル(対面、電子メール、Web、モバイルなど)増大への対応で苦戦した。CRM分野では他社も同じ課題に直面し、CRMシステムは過度に複雑化して、その機能は過度に散漫になった。

 さらに、より的を絞った提案をする目的で見込み客についての追加情報を引き出そうとする動きも目に余るようになった。もっといいサービスを提供しようとする企業によって、見込み客は離れていった。

CRMの方向転換

 見込み客や顧客へのサービスを向上させるためには、CRMを転換させる必要がある。役に立つデータを最大限に生成するためにどのCRMシステムを入手すべきかと問い掛けるのではなく、現時点でどんなデータが利用できるのかという立場からスタートしなければならない。営業部隊はSalesforceのような製品を使っているかもしれない。宣伝チームが別のシステムを使っている可能性もある。実店舗のPOSシステムがさらに別のシステムを使っていることもあり得る。Webサイトもまた違っているかもしれない。

 そうしたシステムそれぞれが、見込み客や顧客のことを総観できるシステムの構築に役立つデータソースになり得る。外部にもExperianやDun & Bradstreetのように、社内データの付加価値として利用できるソースが存在する。バリューチェーン全体の構成要員、すなわちサプライヤーやその取引先のサプライヤー、顧客やその顧客などもまた、付加価値になり得るデータソースを持っているかもしれない。

 ほとんどの組織は既に、そうした全てを扱うシステムを構築している。オンプレミスの「全て捨てて最初から始める」ことを前提としたアドバイスはどんなものであれ、否定的に受け止められるだろう。既にある複数のシステムの存在は受け入れなければならない。方向性は次のCRMの波にどう飛び付くかではなく、そうした既存のシステムを最大限に活用することを中心としなければならない。

データ第一戦略

これはデータ第一の戦略だ。どんなものであれ、「新しい」CRMのアプローチは、分析のためにこうした全てのデータソースをどうまとめるかを最初の局面としなければならない。APIやSQLのようなオープンデータ標準を使えばこれはやりやすくなるが、全てのソースがそうしたアクセスを提供しているわけではない。

 従って、Pentaho(現Hitachi Vantara)のようにプロプライエタリ性の高い構造を持つソースのデータ処理を実現するシステムは、データを束ねるためのシンプルで合理化された手段を提供する。実際に、「Apache Hadoop」「同Spark」「同Drill」といったデータ分析エンジンの混在に対応するには、MapRが提供するようなデータフォーカス型のプラットフォームが適しているかもしれない。

 さらに、顧客に関するデータの完全性を保証する手段も必要だ。別々のシステムがそれぞれ異なる項目を使って個々を識別しているケースはあまりに多い。現場の販売システムが「Jane Doe」(訳注)の形式で識別しているのに対し、マーケティングシステムは「Ms J Doe」を使っていることはないだろうか。物流システムは「123, High St, AB1 2CD」で個人を識別しているかもしれない。InformaticaやIBMやOracleが提供するようなマスターデータマネジメント(MDM)のアプローチでは、データ分析を必要とするユーザーのために、シングルエントリーシステムを構築できる。

訳注:「Jane Doe」は女性の仮名で、特定の人物ではなく「身元不明の女性」「女性A」という意味で用いられる。

 MDMでは、1つの項目(CRMの場合、一般的には顧客)につき単一のマスターレコードを作成する。基礎となるデータへの入力がMDMシステム経由で管理されている限り、顧客のデータに対して行った変更は全て、基盤となる全データベースを横断して同期される。これにより、単一の顧客情報を確実に表示することが可能になる。もし、接続されていないデータベースがバラバラに複数存在していた場合、それを維持するのは難しい。

 リアルタイムの顧客データ分析が必要な場合、Qlik、MicroStrategy、SAS、Tableau Softwareなどが提供するインメモリデータベース技術は検討する価値がある。OracleやSAPをメインの「CRM」エンジンとして使っている組織であれば、「Oracle Database In-Memory」または「SAP HANA」が最善かもしれない。

 ビジネスのためにどんな結果を望むかは、常に考える必要がある。もし、商品のクロス販売やアップ販売に重点を置くのであれば、それまでの顧客について分析すれば、「もしも<顧客>が<これ>を購入すれば、<それ>も購入する」というシナリオが想定できる。そうした提案ができるシステムは、顧客と接触する時点で配置されていなければならない。対面販売の機会があった後、しばらくたってから電子メールでフォローするのは時間の無駄になる。顧客がそこにいるとき、目の前の販売員がチャンスをつかむ方がずっといい。

 顧客の変動を減らすためにはどうすればいいのか。今いる顧客がいつ立ち去りそうかを観察し、手持ちの特典を指摘することによって、あるいは適切なチャネル経由の特典を通じて、とどまる理由を提供できるアルゴリズムの導入は理にかなっている。

新規顧客の獲得

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