Column
社内ユーザーとIT幹部の間に横たわる危険な溝
ITプロジェクト成功の鍵は、社内エンドユーザーのプロジェクトへの参加であり、IT部門のコミュニケーションとフォローアップが必要だ。
フォレスター・リサーチの調査では、企業システムのエンドユーザーのほぼ半数は、自分たちの経営者はIT構想をサポートするという点に関して落第だと考えている。一方、この嘆かわしい評価に同意するIT幹部はわずか20%だった。
非IT部門の従業員たちは、ITプロジェクトが多数の部門の意見を反映してスタートしても、結局、技術屋たちが独断でプロジェクトを進めてしまうと考えており、それが多くの企業で混乱、無関心、悲観主義といった状況を招いているようだ。
最近のフォレスター・リサーチの報告によると、ユーザーとITマネジャーとの間には深刻なギャップが存在し、そのことが多くの企業で混乱、無関心、悲観主義といった状況を招いているようだ。
フォレスターが調査した社内ユーザーのほぼ半数は、適切な資金投入とトレーニングなどによるリソース確保を通じてIT構想をサポートするという点に関しては、自分たちの経営者は落第だと考えている。一方、この嘆かわしい評価に同意するIT幹部はわずか20%だった。社内ユーザーの主な不満は、コミュニケーションが欠如していること、そして全社的なプロジェクトがIT部門だけにゆだねられ、各部門に対するフォローアップがないがしろにされていることだった。」
「The IT Organization: Users Versus Decision-Makers」(IT機構:ユーザー対意思決定者)と題されたこの報告書は、ITとビジネスの優先課題を連携させる必要性を強調している。これは、今日のCIOが共通に抱えている緊急課題でもある。
こういった調査結果を実際に目の当たりにしているIT幹部は少なくない。カリフォルニア州マウンテンビューにある弁護士事務所フェンウィック・アンド・ウエストのマット・ケスナーCTO(最高技術責任者)もその1人だ。同社では、技術企業向けの法務サービスを提供している。
「ITに関しては、経営陣は現実に達成できないような成果を期待しがちだ。われわれは通常、過度の期待を抱かせることのないよう、プロジェクトや技術について大々的な発表はせず、段階的に技術を導入するようにしている」とケスナー氏は話す。
最大の問題はコミュニケーション不足
フォレスターのアナリスト、メレディス・モーリス氏は同報告書の作成にあたり、米国企業に勤める692人の社内ユーザーを調査した。これらのユーザーは販売スタッフやマーケティング担当者などで、その多くは各種のビジネスアプリケーションやその他のITを毎日、5時間以上利用している。また、北米企業に勤務し、IT予算やIT戦略を策定する528人のIT導入の意志決定者に対する調査も同時に行われた。
モーリス氏の報告書によると、ITユーザーのうち28%は、「複数部門にまたがるプロジェクトでは、最初は連携がとれているが、最後はばらばらのプロジェクトで終わる」と考えている。この調査では、44%のITユーザーが、「経営陣はリスクを覚悟でイノベーションを推進すると言うだけで、そういったプロジェクトに十分なリソースを投入していない」と考えていることも明らかになった。
ケスナー氏によると、ITプロジェクトが多数の部門の意見を反映してスタートしても、結局、技術者(テッキー)が独断でプロジェクトを進めてしまうというのは「まさしく本当だ」という。
「IT部門の側に悪意があるというわけではない。何かを実施するための現実的な手段は限られているのだ」(同氏)
例えば、ケスナー氏の勤める事務所では最近、Windows XPとOffice 2003、および新しいドキュメント管理システムを導入した。このパッケージでは、文字通り何千種類もの組み合わせが用意されていたので、さまざまな部署から広範な意見を聞くのは現実的でなかった。このため、同氏のITグループは、社内ユーザーと何度か会合を開いて彼らの優先事項を把握した上で、これらの優先事項に基づいてパッケージを選定し、一連の電子メールを通じてシステムの配備をスタッフに通知したという。
高慢さはトラブルのもと
ケスナー氏は、ITプロジェクトの成功は、導入の迅速さやコストの低さではなく、社内ユーザーの反応とそれに対するIT部門のフォローアップで判断されると考えている。
「わがIT部門の良いところは、誤りを素直に認めるという点だ。導入の第2段階は誤りを修正する作業だ」とケスナー氏は話す。
プライスウォーターハウスクーパースでIT効果測定手法を担当するパートナーのマーク・ラッチェン元CIOによると、重要なIT構想の進捗について社内ユーザーとの日常的なコミュニケーションが欠けると、冷笑的な態度が広がることが多いという。
「ITプロジェクトが実施される見通しがないとユーザーが考えると、悲観主義がはびこる。IT部門とユーザーが協力しないために大きな失敗を招き、それが企業の業績にまで影響すると大変だ」とラッチェン氏は話す。
同氏よると、発表したプロジェクトが実施されなかった場合、中止の理由を説明すれば(たとえそれが、予算不足といった、がっかりとするような理由であっても)、従業員は次回のプロジェクトに期待を抱くようになり、悲観論が広がるのを防ぐことができるという。
ラッチェン氏は顧問先に対し、ITプロジェクトに厳格なビジネス基準を設定するようアドバイスする。社内プロジェクトであれば、社内ユーザーは最初から最後までプロジェクトにかかわり、自分たちの意見がプロジェクトの実施過程で反映されるようにしなければならないという。
「社内ユーザーが責任を回避して、『IT部門に任せておけば大丈夫』などと言っていたらだめだ」とラッチェン氏。(この記事は2005年6月14日に掲載されたものを翻訳しました。)
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